研究課題/領域番号 |
16K12594
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
増田 雄司 名古屋大学, 医学系研究科(環医), 准教授 (30273866)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | DNA修復 |
研究実績の概要 |
ヒト損傷トレランス機構には二つの副経路、忠実度が低い(error-prone)損傷乗り越えDNA合成(translesion DNA synthesis, TLS)と、忠実度が高い(error-free)鋳型鎖交換反応を介したtemplate switch (TS)経路が存在し、PCNAのユビキチン化により制御される。PCNAのモノユビキチン化はTLS(error-prone)を、ポリユビキチン化はTS(error-free)を促進することから、その制御は遺伝的安定性の維持にとって極めて重要である。酵母ではPCNAのモノ/ポリユビキチン化による制御機構の概念が確立しているが、ヒト細胞ではポリユビキチン化がほとんど検出されないため、その制御機構は不明な点が多い。本研究ではこの現状を打破するため、斬新な脱ユビキチン酵素を同定、解析することによって、ヒトでの損傷トレランス制御機構の解明を目指している。 これまでの研究から、ユビキチン化PCNAを基質とする様々なタイプの脱ユビキチン酵素をHeLa細胞抽出液中に同定している(未発表)。本年度は、そのうち一つの脱ユビキチン酵素をコードする遺伝子とその調節因子をコードする遺伝子を同定した。さらに、その脱ユビキチン酵素と調節因子の組換えタンパク質を精製し生化学的解析を行った。また、培養細胞でそれらの遺伝子をそれぞれknockoutまたはknockdownし生理的機能の解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新規脱ユビキチン酵素をコードする遺伝子を同定した際に、酵素自体をコードする遺伝子に加えて、その調節因子をコードする遺伝子も合わせて発見した。28年度は、この予想外の発見に伴う遺伝子のクローニングと機能解析も合わせて行っており、その分予定した一部の研究に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは28度に遅れが生じた実験を済ませたのち、29年度の実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
28度に計画した新規脱ユビキチン酵素をコードする遺伝子を同定した際に、酵素自体をコードする遺伝子に加えて、その活性を制御すると思われる調節因子をコードする遺伝子も合わせて発見した。28年度は、この予想外の発見に伴う遺伝子のクローニングと機能解析も合わせて行っており、その分予定した一部の研究に遅れが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
まずは28度に遅れが生じた実験を済ませたのち、29年度の実験を行う。
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