東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故後の小児甲状腺超音波検査で、極めて高い頻度で甲状腺がんが報告されている。これらの甲状腺がんの放射線起因を判断する一助として、細胞に残る放射線痕跡の同定が極めて重要である。本研究では、甲状腺がんのdriver変異であるキナーゼ遺伝子融合変異が、放射線分子痕跡であるかどうかを検証するための、定量的遺伝子変異検出系の樹立を試みた。その結果、differential RT-PCRの実験条件を決定し、甲状腺乳頭がん細胞株に存在するRET/PTC1を高感度に検出し、本遺伝子変異検出系が、放射線照射による融合型遺伝子変異生成評価に有用である事を示した。
|