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2017 年度 実績報告書

ニューロンにおけるDNA2本鎖切断修復能低下が認知機能に及ぼす影響の究明

研究課題

研究課題/領域番号 16K12599
研究機関大阪府立大学

研究代表者

児玉 靖司  大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00195744)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードニューロン / 神経幹/前駆細胞 / DNA2本鎖切断修復 / アポトーシス / DNA依存的プロテインキナーゼ
研究実績の概要

本研究の目的は、ニューロンにおけるDNA2本鎖切断(DSB)修復能とニューロン死の関係を明らかにすることである。本年度は、ニューロンにおけるDSB蓄積とアポトーシス誘導によるニューロン死の関係を神経幹/前駆細胞(NSPC)とNSPCから分化させたニューロンを比較して調べた。はじめに、ICRマウス胎児(14.5日齢)線条体より採取したNSPCをニューロンに分化させる培養方法を確立した。この培養法では、増殖因子等を添加したneurobasal培地でNSPCを48時間接着培養することにより、高い分化率(82.4%)でニューロンが得られた。一方、ニューロンへの分化過程において、アポトーシスが高率(37.0%)に生じることも分かった。次に、NSPC及びニューロンについて、X線(1Gy)誘発DSBの経時的(10分~12時間)な修復速度を線維芽細胞(MEF)と比較して調べた。その結果、NSPCとニューロンはどちらもMEFに比べて修復速度が速いことが分かった。そこで、DSB修復で主要な役割を担うDNA依存的プロテインキナーゼ(DNA-PK)活性を調べたところ、NSPCとニューロンはどちらもMEFより活性が高いことが分かった。このことが、NSPCとニューロンでは、MEFに比べて修復速度が速い原因であろうと推定される。さらに、X線被ばく6時間後のp53依存的アポトーシスの誘発を調べた。その結果、X線1Gyにより誘発されるアポトーシスは、NSPCでは8.7%、ニューロンでは25.4%であり、2Gyではそれぞれ12.2%及び34.8%であった。この結果は、ニューロンがNSPCに比べてDSB蓄積によるアポトーシス誘発に感受性が高いことを示している。X線被ばく6時間後はほとんどのDSBが修復されていることから、この結果は、ニューロンではNSPCに比べてDSBの修復誤りが生じやすい可能性を示唆している。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Repair kinetics of DNA double-strand breaks and incidence of apoptosis in mouse neural stem/progenitor cells and their differentiated neurons exposed to ionizing radiation.2018

    • 著者名/発表者名
      Kashiwagi, H., Shiraishi, K., Sakaguchi, K., Nakahama, T. and Kodama, S.
    • 雑誌名

      Journal of Radiation Research

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1093/jrr/rrx089

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Characteristics of repair kinetics of DNA double strand breaks in mouse neural cells exposed to ionizing radiation2018

    • 著者名/発表者名
      Seiji Kodama
    • 学会等名
      The 8th Annual Meeting of the International Society of Radiation Neurobiology
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 胎児期のマウス脳組織におけるX線誘発DNA2本鎖切断修復動態2017

    • 著者名/発表者名
      白石一乗、尾家彩加、児玉靖司
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第60回大会
  • [学会発表] 神経発生期間におけるDNA依存的プロテインキナーゼ触媒サブユニット発現とDNA依存的プロテインキナーゼ活性の解析2017

    • 著者名/発表者名
      金星咲良、白石一乗、児玉靖司
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第60回大会
  • [学会発表] マウスニューロンにおけるDNA損傷応答の解析2017

    • 著者名/発表者名
      中野彰人、白石一乗、児玉靖司
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第60回大会
  • [学会発表] X線誘発テロメアシグナル異常への酸化ストレスの関与2017

    • 著者名/発表者名
      坂本佳美、白石一乗、児玉靖司
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第60回大会
  • [学会発表] 被ばく染色体とDNA2本鎖切断の相互作用を検出する実験系確立の試み2017

    • 著者名/発表者名
      西田一貴、白石一乗、戸田邦彦、児玉靖司
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第60回大会
  • [学会発表] 小核におけるDNA2本鎖切断蓄積の細胞周期におけるタイミングの解析2017

    • 著者名/発表者名
      冨野菜央、白石一乗、杉本憲治、児玉靖司
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第60回大会
  • [学会発表] 放射線によるテロメア姉妹染色分体交換(T-SCE)の線量依存的誘発2017

    • 著者名/発表者名
      遠山由貴、白石一乗、児玉靖司
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第60回大会
  • [備考] 大阪府立大学大学院理学系研究科生物科学専攻放射線生物学研究室

    • URL

      http://chokai.riast.osakafu-u.ac.jp/~housya6/graduate.html

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公開日: 2018-12-17  

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