大気汚染物質のPM2.5:微小粒子の次世代影響は、微小粒子の胎仔移行による直接影響か、妊娠環境の変化による間接影響か不明である。そこで、妊娠マウスに微小粒子を処理し、母体肝臓、胎盤、胎仔の遺伝子発現変動を評価し解明を試みた。微小粒子が胎仔移行し直接影響を与える場合、異物代謝に係わる遺伝子(対象遺伝子数125)発現変動は胎仔と母体肝臓や胎盤で同様の変化が認められるが、共通発現変動様式を認めた遺伝子はなかった。一方、母体血中の炎症性サイトカインMCP-3は有意に高値となり、微小粒子による次世代影響は微小粒子の胎仔移行による影響ではなく、母体環境の変化により、次世代に影響を与える可能性が示唆された。
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