平成29年度の研究成果は以下の通りである。 1.Anammox付着膨張床(AAFEB)型SADプロセスの長期連続運転において処理性能に及ぼす有機物の影響を検討した結果、反応槽内のEPSが89.6±48.3mg/g-VSSと高濃度ではグラニュールの沈降性が35.0±0.8%低下し、VSSは30.5±0.9%減少することを明らかにした。同じ窒素負荷条件で実験を行ったところHRTを長くすることで槽内にSMPが蓄積し、基質のTN濃度が3500㎎/LではSMPは100㎎/L以上となり運転に阻害が見られた。また窒素濃度を高くするほど比Anammox活性と基質による半数阻害濃度は低下し比脱窒活性が高くN2Oの生成量が多くなることを明らかにした。 2.窒素負荷が5.0から60.0gN/L/dにおいて窒素除去率は87.3±2.5%に維持され、最大窒素除去速度44.9±0.3gN/L/dが得られた。本研究により低低負荷条件(5.0 gN/L/d)および高負荷条件(50.0 gN/L/d)におけるAnammox反応の化学両論式を新たに提示した。また安定処理には(F/M)/SAA比(F:Food、M:Microorganisms、SAA:Specific Anammox Activity)を66±7%以下とする必要性を明らかにした。 3.SEMやFISH等による解析の結果、核となる嫌気性グラニュールの周囲にAnammox細菌を取り囲むようにして糸状性細菌やEPSが集合体を形成し大きなグラニュールの形成を促進していることが確認された。 以上の結果からAAFEB型SADプロセスの最適な運転条件および反応に及ぼす阻害影響、関与している微生物やグラニュール形成に係るメカニズムなどを明らかにし、AAFEB型反応槽の高窒素負荷廃水の処理への適応に向けた有用な知見が得られた。
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