貴金属ナノ結晶による触媒は、その形を球状以外の異方形態に導くことで高活性化が期待できる。この触媒性能を高いレベルで維持する知見を導くため、異方形態の再生と機構の解明に取り組んだ。(110)面と(100)面に選択的に吸着するアミン末端型の界面活性剤を添加することで、金結晶形態をロッド構造へと高収率で変換することに成功した。制限視野回折像および原子間力顕微鏡から結晶形態変化の様子を詳細に観察したところ、初期結晶の(111)面から表面溶解が進行し、次いで(211)面を主とした再成長が起きていることが分かった。界面活性剤の種類と濃度の検討から、ミセルの作用が大きな影響をおよぼしていることが導かれた。
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