研究課題/領域番号 |
16K12640
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
渡邉 園子 広島大学, 国際協力研究科, 特任准教授 (80403616)
|
研究分担者 |
近藤 俊明 広島大学, 国際協力研究科, 特任准教授 (40391106)
井鷺 裕司 京都大学, 農学研究科, 教授 (50325130)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 生物多様性 / 絶滅危惧種 / 生息地モデル |
研究実績の概要 |
本研究では、東広島市の西条盆地に多く分布する人工ウェットランドであるため池に生育する絶滅危惧種の特性を明らかにすることを目的とし、西条盆地の絶滅危惧種の生育状況調査、次世代シーケンシングデータを用いたマーカー開発を行った。ため池のような地域に点在する生育地では、その地理的分布パターンや生育地間のネットワークの重要性は認識されているものの、地域スケールでの具体的保全方法は明らかになっていない。平成30年度も平成29年度に引き続き、西条盆地の水生植物や湿地、草地の絶滅危惧種を中心に絶滅危惧種のサンプル採集、生育状況調査を行った。ただし、6月末から7月にかけて集中豪雨があり、7月の調査がほぼ出来ない状態であった。また、7月下旬より調査を再開したが、多くの池が、近づくことが出来ない、または、危険箇所として立ち入り禁止になっていたため、十分な調査ができなかったが、本年度は、100カ所をこえるため池の現地調査を行った。集中豪雨による土砂崩れ等のために数カ所のため池は消失していた。そのほかのため池についても、土砂の流入や豪雨の影響で水が濁っているため池が多く確認された。以上のことから、絶滅危惧種のサンプルを十分集めることが出来ず、遺伝解析を進めることが出来なかった。しかしながら、過去、絶滅危惧種の生息が確認されたため池において、本年度生息が確認できなかったため池が多くあった。そのため、遺伝解析と並行して実施している、生育分布の地理的分布構造の解析をすすめ、10年前の分布データとの比較も踏まえた生息適地モデルの解析の精緻化を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、東広島市ため池の絶滅危惧種ついて、分布調査と遺伝的な生物多様性評価を行い、保全策について提案するものである。平成30年度も引き続き絶滅危惧種の分布調査と遺伝的多様性評価のためのサンプリングを計画していたが、平成30年度の西日本豪雨災害によるため池決壊や土砂崩れのため、調査予定であったため池の消失や立ち入り禁止が多く、十分なサンプリング調査および実験を実施することができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度は,2018年度に実施できなかったサンプル採集について,地元の識者等の情報を得ながら,効率的に引き続き生育地調査とサンプリングも合わせて行う。遺伝解析については,解析方法を変えることも検討している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2018年の西日本豪雨災害によるため池決壊や土砂崩れのため,調査予定であったため池の消失や立ち入り禁止が多く、十分なサンプリング調査および実験を実施することができなかったため,残額が生じた。本年度は2019年度の計画どおりに執行する計画である。
|