日本には,30年以上無肥料でも高い収量をあげている水田が存在する。無肥料水田における窒素固定微生物群集と窒素供給力を調査するため,収量性の異なる長期無肥料水田と慣行水田を対象に土壌の無機窒素供給力と窒素固定細菌群集の解析を行った。その結果,水田間で土壌の窒素固定細菌群集は大きく異なり,無肥料水田で増加した細菌の多くはメタン酸化細菌に属することがわかった。このことから,(1)無肥料水田ではメタンをエネルギー源とする窒素固定細菌が優占し,土壌の自律的窒素供給に貢献していること,(2)無肥料水田では細菌による窒素固定を通じてメタンの排出が抑制されている可能性が示唆された。
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