| 研究課題/領域番号 |
16K12653
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| 研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
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研究代表者 |
友野 和哲 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (40516449)
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| 研究分担者 |
碇 智徳 宇部工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (40419619)
島袋 勝弥 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (70618446) [辞退]
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | ブロモシラン / 再資源化 / 蓄電技術 / 電気化学的手法 |
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| 研究実績の概要 |
廃棄物シリコンから得られるブロモシランは，常温常圧で液体のため，ウエットプロセスである電気化学的析出に有利である。ブロモシランからSi薄膜を電気化学的手法により作製する条件を見出した。
本研究では，膜厚を制御可能なCNT(カーボンナノチューブ)を不織布基板として，電気化学析出法によるSi薄膜を作製し，Liイオン電池用負極剤としての利用を目的としている。
廃棄物シリコンから得られるブロモシラン液をLi電池用シリコンに応用できれば，廃シリコンの潜在的な付加価値を高め，効率的なリサイクルシステムの促進につながると考えている。平成28年度では，CNTの泳導時間と電着量を検討し，10分以降において800nm以上の膜圧にならないことを明らかにした。不織布CNT基板に対して，ブロモシランをシリコン源とする電析を実施した。不織布CNT基板の膜厚は300nmに固定し，電解電位と電析時間を系統的に変更することでシリコン析出物を持つ不織布CNT基板を作製した。充放電測定から，初期容量は2000mAh/gを超えたが，2サイクル目以降容量が急激に低下し，５サイクル目において150mAh/gの値で定常状態に達した。充放電前後での表面観察から大部分のシリコンが脱落していることがわかった。一方で，不織布を構成しているCNT表面には薄膜上のシリコンが残留していることがわかった。現在，不織布CNTの膜厚とシリコン電析時の電位と時間を変更することで，残留するシリコン量の向上を検討している。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
泳導電着時間と膜厚を調査済みのカーボンナノチューブ(直径1000nm)が販売中止になっており，研究に支障をきたさない市販されているカーボンナノチューブ(直径100nm)を用いた。泳導電着させるための前処理工程である酸に対する応答が全く異なっており，再現性が良い不織布CNT基板を作製するのに多くの時間を費やした。結果，泳導電着時間と膜厚の関係は明らかにした。続いて，CNT膜厚を300nmに固定し，ブロモシランからのシリコン電析を行った。電解電位により，析出物の形態(薄膜状と粒子状)が異なることが分かった。作製した不織布Si/CNT基板の充放電試験から，初期では2000mAh/gの容量(目標；1500mAh/g)を示したが，２サイクル目より急激に容量が低下した(2nd; 200mAh/g)。Li吸蔵時にシリコンの体積膨張が起こり，多くのシリコンが脱落していることが分かった。一方で，当初の予想通り，CNT表面にシリコンの薄膜が析出しており，5サイクル目まではCNT上に残留することが分かった。
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| 今後の研究の推進方策 |
Li電池用シリコン負極材料の合成とその充放電特性の工程を終えることが出来た。充放電時に析出させた大部分のシリコンが脱落することが分かった。一方で，CNT上に析出させたシリコンは脱落しないことが示唆される。今後は，CNTの膜厚を増やすことで，シリコンの量を増やすことで容量向上を検討する。いまだ系統的に行えていない反応条件(電解電位・ブロモシラン濃度・浴温度)を精査して，CNTの膜厚とシリコン堆積量の最適な創製条件を明らかにする。ブロモシランは常温常圧で液体のため，反応条件を変更するのは気体であるクロロシラン系より有利であり，ここに新規性があると考えている。
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