研究課題
本研究では、インドネシア・マラン市を事例とし、ごみ銀行(WB)および集団回収による資源回収(MBシステム)という2つの異なる家庭ごみ資源回収の方式の持続性を評価することを目的とした。ごみ銀行とは、参加世帯がごみを分別し,有価物を換金・預金できるものである。MBシステムとは、資源分別を人を雇って実施し、参加世帯は従来のごみ処理を実施している方式の地域よりも高い費用を負担している。本研究では、この2つの資源回収方式について,「満足度」,「協力度」,「資源回収率」,「環境負荷」の4つの項目でシステムを評価た。それぞれのシステムに参加する世帯に加え、どちらにも所属しない世帯を加えた合計約900世帯に対してアンケート調査を実施した。アンケートの質問結果に対して,因子分析を行った。因子得点として環境配慮評価,廃棄物管理評価,社会規範評価,活動協力評価で抽出された質問の平均得点の合計を採用した.調査結果、WBの方がCBよりも環境配慮に対する評価が高く、環境に配慮した行動をしているという自覚が高いことがわかった。一方、廃棄物処理方法に対する「満足度」はCBの方が高く、活動に対する「協力度」もCBの方がWBよりも高いことから、CBは住民の協力を得られやすく、持続性の高い資源回収方法である可能性が示唆された。「資源化率」を残渣ごみ中に残った資源物割合から推定すると、ほぼ同程度であった。CBおよびMBから発生する残渣の物理組成や重金属含有量にも違いがみられず、埋立物による「環境負荷」の面からはどちらも同程度であることが示唆された。以上より,MBのほうが、持続的な資源回収のシステムとなりえる可能性が明らかとなった。
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Environment, Development and Sustainability
巻: 2018 ページ: 1-17
https://doi.org/10.1007/s10668-018-0175-2