研究実績の概要 |
2017年9月から2018年1月末にかけて、中国国内調査会社を通じて,ウェブアンケートを実施した。経済発展レベルの異なる上海市、瀋陽市、成都市の18歳から70歳以下の成人を対象に、人口センサスの性別、年齢別構成に基づき、割付した2,400人(プレ調査300人,本調査2,100人)に対して意識調査を行った。調査目的は以下のとおりである。 個人の社会的属性や特徴,居住状況,環境意識とごみ分別行動にどのような関係性があるか。また、これらはごみの有料化に対する受容度やごみ分別政策に対する受容度とどのように関係するか。さらに、地域によって差異があるかどうかである。 調査の結果、人々の環境意識や分別知識はごみの分別行動,有料化や分別政策に対する受容度とは高い相関関係があることが明らかとなった。しかし、調査では,三分の一以上の回答者は分別知識や分別措置が「よくわからない」と回答しており、「わかっている」と回答した人のうち、半数以上が分別方法を間違っていたため、意識啓発の取組みが必要であることが明らかとなった。また、社区でのごみ分別のルールやインフラ整備は住民のごみ分別行動、分別政策への受容度に対して正の影響があった。今後は社区を単位とするごみ分別ルールの強化、インフラ整備の改善が必要であると考えられる。ごみの有料化に対する受容度は都市によって差が見られるが反対意見が多い。一方で経済的インセンティブ措置(グリーンアカウントなど)はごみの分別行動、有料化や分別政策に対する受容度に対してポジティブに働く傾向が見られた。 このほか、9月に瀋陽市に赴き都市生活廃棄物埋め立て場の視察、地方政府へのインタビューを行った。また、3月には、ウェイストピッカーの実態に詳しい研究者を招聘して研究会を開催した。
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