研究課題/領域番号 |
16K12687
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田畑 智博 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (40402482)
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研究分担者 |
片桐 恵子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (80591742)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 環境政策 / 人間生活環境 / 廃棄物再資源化 / 老化 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に実施した容器包装プラスチック(以下、容リプラ)の分別に関する調査について、特に70歳以上の高齢者のサンプル確保するための調査を実施した。具体的には、生活協同組合コープこうべの協力の下、神戸市居住のコープこうべの夕食サポート「まいくる」を利用している会員を対象としたアンケート調査を実施した。質問紙は本サービスで配達される弁当に挟みこみ、利用者が記入後、質問紙を郵送で返信する方法を採用した。質問紙の配布数は2,991部であり、回収率は22.0%であった。 回答者の平均年齢は74.9歳、回答者全体の64%は後期高齢者であった。このうち、57%は単身、43%は複数で居住していた。容リプラを資源ごみに入れる頻度を分析した結果、74歳までは分別頻度が上昇した一方、75~94歳まで分別頻度が漸減する傾向がみられた。95~99歳で分別頻度が向上したが、これは当該年齢階級のサンプル数が極端に少ないこと、回答者が質問表に回答できるだけ元気であること等が挙げられる。 分別・ごみ出しに関する工夫や悩み等についても尋ねた。結果の一部として、「健康に恵まれて身の回りは自分でやっている(97歳男性、単身世帯)」、「分別は可能限りするが、ごみ出しは夫婦ともに不能 (88歳男性、高齢者二人世帯)」等の回答があった。このことから、ある程度の加齢が進むと、年齢よりも健康に関する要因がごみ分別に大きく影響することが伺えた。 続いて、昨年度と今回の調査結果を踏まえて、世帯主年齢別、世帯人数別での容リプラの分別頻度、分別率に関する現単位を作成した。これを利用することで、将来の高齢化の進展および世帯人数の変化を考慮した容リプラの分別量のシミュレーションが可能である。また、シミュレーションの結果を政策に適用するための検討資料として、高齢者のごみ出し・分別に関する自治体の対応に関する情報を収集し整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は特に75歳以上の高齢者を対象とした調査を行うことで、幅広い年齢階級での容器プラの分別率に関するデータを収集することができた。このデータは極めて貴重であり、これを利用した環境政策への貢献が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、将来の人口変化に伴う高齢化率の変化が容リプラの分別量に及ぼす影響をシミュレーションする。また、分別量の変化とごみのリサイクル量・焼却量との関係性を、ライフサイクルアセスメント手法を用いて定量的に評価する。以上の結果を踏まえ、超高齢社会の進展がごみ分別に与える影響を明らかにするとともに、分別に関する対応策を提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、当初は自治体を対象として高齢者のごみ出し・分別に関する調査を行う予定であったが、コープこうべを対象とした調査結果の整理および分析などに多大なる時間を要した。そのため、本来調査に使用するはずであった費目について繰越が生じた。 また、調査結果や学会での研究報告などを通じて、自治体よりもデイサービス施設などを対象として調査するのが有益な情報を得られるということがわかった。そのため、最終年度では、デイサービス施設などでの調査を実施するための費目に使用する計画である。
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