本年度は、訪問介護員およびその経験者103名を対象として、担当している高齢者世帯におけるごみ分別やごみ出し状況に関するアンケート調査を実施した。その結果、要支援1~2に分類される高齢者の世帯では、約78%が自身でごみ分別ができると回答したのに対し、要介護3~5に分類される高齢者の世帯では、自身でごみ分別ができる回答者は29%まで減少した。ごみ出しについても同様であり、要支援1~2に分類される高齢者の世帯は約79%ができると回答したのに対し、要介護3~5に分類される高齢者の世帯は34%まで減少した。昨年度のアンケート調査では、高齢者自身を対象としてごみ分別・ごみ出しの実施状況に関する調査を実施したが、介護が必要な高齢者からの回答が不十分であった。本調査結果と合わせて、高齢者のごみ分別・ごみ出しの実態を把握することができた。 続いて、これまでの調査で得られた年齢階級別での容器包装プラスチックごみの分別状況をもとにごみ分別実施率を算出し、将来における高齢者のさらなる増加が、ごみ分別量におよぼす影響を推計するための推計モデルを構築した。また、本推計モデルを用いて、容器包装プラスチックごみの分別量が変化することで、自治体のごみ処理に伴うCO2排出量を推計した。本結果を通じて、高齢者の増加に伴う容器包装プラスチックごみの分別率の変化、およびこれに伴うCO2排出量の変化度合いをシミュレーションすることが可能となった。地方自治体は本結果を利用することで、地域内での高齢者の増加が自地域内でのごみ処理にどのような影響を及ぼす可能性があるかを予測することができ、これをもとに将来のごみ分別を含めたごみ処理計画の作成に役立てることが可能であると考えられる。
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