研究課題/領域番号 |
16K12691
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研究機関 | 文化学園大学 |
研究代表者 |
岡林 誠士 文化学園大学, 服装学部, 助教 (30581813)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ウェアラブルデバイス / ロコモ / 運動促進システム |
研究実績の概要 |
平成29年度は,前年度の実験成果について,学会発表ならびに論文報告を行なった。本内容は,ウェアラブルデバイスで計測される実際の(客観的な)負担は同程度であっても,呈示される情報(Face Rating Scale(FRS)を用いて操作的に呈示した)によって実験協力者の主観的な痛みの回答(Visual Analogue Scale (VAS)を指示することによって回答)に大きな差が出る点について,集計データおよび個人毎のデータから詳細な分析についての報告を行なったものであった。加えて,一般的な痛み刺激となる外部刺激による痛みの評価に対する呈示情報の影響について視線計測装置やVR等を用いたアプローチからの研究を実施した。その結果,痛みの評価における個人差は呈示刺激とそれに伴う情動変化によっても大きな影響を受けることが実験から示唆された。そのため,ロコモ予防および運動促進という観点から,外部からの情報を呈示する際には,ポジティブな情動を促すような方法が効果的であると考えられた。 一方,ロコモに対する若年層への理解を促す啓発活動の一つとして,文化学園大学文化祭での教科展示会場におけるアナウンスを実施した。この中で,ロコモへの関心が極めて低い,将来的な当事者としての意識が全くない若年層に対して情報を提供する際の課題も見出された。この問題においても,まずは,楽しみながら体験をしてもらうといった工夫の必要性があり,新たな呈示方法によっての検証を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの計画では,ロコモ予防・運動促進において,痛みの数値化による情報の呈示(スマートフォンもしくはタブレット等での画面表示)を計画していたが,H29年度実施の実験結果から数値情報の呈示だけではなく多角的なアプローチの必要性が検討された。そこで,痛みに対する指標についての検討を中断し,ポジティブな情動を促す効果を有しつつ,かつ,一定の客観性を保持した情報についての新たな呈示方法を検討することとした。その結果,課題であるロコモ予防を想定した(別指標の「見える化」によっての)運動促進システムの開発に重点を置く計画へ変更することを決定し,新たな呈示方法を用いた成果達成に向けての計画を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
H28・H29年度の実施結果から,当初計画からの大幅な変更が必要であり,迅速に変更された計画を遂行することとする。一方,2年間に渡り多くのアプローチからの予備実験と検討を重ねることができたことから,課題の達成目標の一つであるロコモ予防を想定した運動促進システムの開発に向けてより効果的な方法が提示できると考えている。また,新たな指標の導入に伴い,他の研究者とも協力をしながら研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:前年度および研究を進める中で発生した検討課題について,痛みの評価に対する様々なアプローチからの実験を実施・検討することを最優先事項としたため,学外での実験で必要とされる謝礼等の人件費使用がなかったことによる。加えて,指標が検討段階であったため,ウェアラブルデバイスの新規作成を中断したため,その作成に関する費用の使用がなかったことにもよる。 尚,成果報告が都内のみであったことから,成果報告に関する旅費の使用が大幅に抑えられたことも理由の一つである。
使用計画:H30年度内に実機の作成および検証を行なうことを目指し,その作成に掛かる費用に重点を置く。これまでの計画と大幅に変更となる点,検討課題も多く存在するが,課題目標の達成を目指して修正された計画に基づき使用する。
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