研究課題/領域番号 |
16K12696
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研究機関 | 大阪城南女子短期大学 |
研究代表者 |
中津 功一朗 大阪城南女子短期大学, その他部局等, 講師(移行) (30454606)
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研究分担者 |
石橋 健 関西大学, 付置研究所, 研究員 (30749221)
高橋 亨輔 香川大学, 工学部, 助教 (60647262)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 防災 / 幼児教育 / 防災意識 / VR / 情報技術 |
研究実績の概要 |
本年度は、幼児教育分野で防災意識を向上させる学習と体系的な評価ができる教育システムの基礎研究として、養成校(大阪城南女子短期大学)の学生を対象に、①既存のコンテンツ(避難マニュアルやシミュレータ等)を利用することにより想定される具体的な被災シナリオの作成と②情報技術を利用したコンテンツ作成の2つの面で以下のように研究を行った。 ①公開されている避難マニュアルや防災シミュレータを体験することで、被災現場を想定し、議論を行い、現場での戸惑いや予測できない幼児の行動を具体的にシナリオとして検討した。また、本研究の目的でもある防災意識については、コンテンツを被験者が体験する時期により、違いがあると想定し、2017年度を通して、学生の意識調査を行い、コンテンツの提供時期と意識継続の関係について調査した。 ②情報技術によるコンテンツ作成についての研究であり、本研究では、バーチャルリアリティ(VR)技術によるコンテンツを構築した。当初の計画では、香川大学の防災コンピテンシーシミュレータの遠隔利用を想定していたが、受信側(園や養成校)の環境整備が必要であり、 広く利用することを目的とした本研究では難しいと判断し、比較的容易に利用することが出来るVRゴーグルでのシミュレータによるコンテンツ作成を目指した。作成したVRコンテンツでは、①で作成した具体的なシナリオを、来年度コンテンツに組み込むことが出来るように作成している。 本年度は提案するシステムのプロセスにおける「学習」および「フィードバック」に該当するものであることから、振り返り議論による意識の広がりの調査に加え、防災コンテンツへの具体的シナリオのフィードバックを行った。防災コンテンツを利用することで議論された具体的なシナリオを防災コンテンツにフィードバックすることにより、また新たなシナリオが生まれ、より具体的になることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では、養成校(大阪城南女子短期大学)の学生を対象に、既存のコンテンツ(避難マニュアルやシミュレータ等)を利用することによる具体的な被災シナリオの作成と情報技術を利用したコンテンツ作成の2つの面で以下のように研究を行った。 被災シナリオの作成に関しては、前年度に避難訓練や訓練シミュレーションにより議論された具体的なシナリオをフィードバックした防災コンテンツを利用することにより、新たなシナリオを作成した。つまり、訓練、シナリオ作成、フィードバック、再訓練という形で繰り返すことでシナリオをシチュエーション別により具体的に作成した。本年度も引き続き行う予定である。 また、より被災時をイメージしやすいようにVRコンテンツの作成も同時に行っている。本年度は、動画や写真によるVRコンテンツの作成とCG(コンピュータグラフィックス)によるVRコンテンツの作成を行っている。本研究では、コンテンツを提供して利用してもらうのではなく、園独自のシナリオを利用者がシミュレータに組み込む事を目的としている。なぜならば、避難訓練やマニュアルと同様に、提供されたものを利用するだけでは、防災意識の向上にはつながらない。そのため、園児の数や行動、教室のアイテムなどを園独自のものとして作成できるコンテンツを目指して、現在研究を進行している。 この2つの調査研究については、2017年5月12日(土)・13日(日)に行われる日本保育学会第71回大会で発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下の4点を中心に研究を行う。 ①これまで、幼稚園教諭や養成校の学生を対象に作成した具体的な被災シナリオをフィードバックしたコンテンツ作成。昨年度に引き続き、具体的なシナリオを作成すると同時に、養成校の学生や、幼児教育現場の教員が作成できるVRコンテンツを構築する。 ②防災意識と環境の調査。実際に被災した経験のない被験者だけでなく、東北などの被災経験のある被験者を対象にこれまで作成したコンテンツを利用し調査を行い、その違いについて検証する。 ③意識継続のための防災コンテンツの作成。防災意識を継続するために必要なことについて議論し、避難訓練やシミュレータ体験だけでなく、日常に利用できるコンテンツを作成する。 ④情報技術によるシステム全体の評価。教育システムによる防災意識の変化について、データマイニングや動画解析など情報技術によりシステムの評価を行い、システムの有用性について検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)大阪城南女子短期大学で香川大学の訓練シミュレータを用いた遠隔実験の準備を本年度行う予定であったが、シミュレータの遠隔利用では受信側の設備投資が必要である。そのため、教育システムとしては利用するのが難しい。そのため、本研究では、シミュレータの遠隔利用ではなく、VRコンテンツとして構築し、提供することとした。本年度は、その基礎研究を行ったため、コンテンツ作成に必要なコンピュータなど来年度利用すること検討している。 (使用計画) 上述したようにシミュレータを遠隔利用でなく、VRコンテンツとして利用するために関わる費用として、次年度使用する予定である。 関わる費用としては、構築費用および香川大学との打ち合わせ等に利用する旅費が計上される。
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