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2016 年度 実施状況報告書

絡み織構造による耐突刺し防護材料に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K12699
研究機関信州大学

研究代表者

坂口 明男  信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (40205729)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード絡み織 / 耐突刺し抵抗 / 貫通エネルギー / 通気抵抗
研究実績の概要

本年度は絡み織構造による耐突刺し防護原理の解明を目的に、市販絡み織物と比較対照である、同一原料で単位面積当たりの質量が同等の通常の織物を購入し、今回の研究で防護服の要求性能として着目している、通気性と耐突刺し防護性に関する実験を行った。
通気性に関しては通気抵抗試験機(KES-F8-AP, カトーテック)を用いて測定を実施した。織物の重ね枚数は1, 2, 4, 8枚と変化させて試験した。その結果、絡み織物は同等の重量の通常の織物と比較して通気抵抗が75分の1から100分の1と圧倒的に通気性に優れることを定量的に確認できた。
突刺し試験に関しては万能試験機(AC-1kN-CM, ボールドウィン)に今回の研究にあたり開発した突刺し冶具を取り付けた実験装置を用いて試験を行った。突刺し部の先端形状が円錐形の場合と四角錘形の場合について比較を行い、更に突刺し速度に関しては100, 300, 1000mm/minの3段階に変えて実験した。重ね枚数は通気抵抗試験と同様1, 2, 4, 8枚の4段階で行った。試験結果については突刺し過程で織物が示す最大耐突刺し抵抗力と突刺し部が貫通に要する力学的な仕事量である貫通エネルギーに注目して分析を行った。その結果絡み織物は通常の織物と比べて遜色のない大尉突刺し性能を示すことがわかった。突刺し部の先端形状が円錐形の場合と四角錘形の場合の比較では円錐形の場合のほうが貫通しにくい傾向が見られた。また重ね枚数を増加した時には最大突刺し抵抗力に関しては高々重ね枚数に比例した増加を示す程度であったが、貫通エネルギーに関しては重ね枚数の増加割合以上に増加することが知られた。さらに突刺し速度での比較も試みたが今回の実験の設定範囲においては突刺し速度と耐突刺し性能の間にはっきりとした関係は見いだせなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画の通り、市販織物を用いて絡み織物の耐突刺し防護性能に関する試験を実施することができた。また、通気性に関しては通常の織物と比べて相当に優れることは予想していたがその程度を数量的に把握することができた。
当初は絡み織物の耐突刺し防護性能は通常織物よりもかなり高いと期待していたが、本年度の実験の結果ではそれほど大きな違いはないことも数量的に明らかにできた。
また、重ね枚数と防護性能の関係が単純に比例しないことも知ることができた。特に防護性能の評価の視点によってもその関係は変わってくることが重要な知見である。
以上より現在までの研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると自己評価する。

今後の研究の推進方策

これまでは市販の絡み織物について防護原理を検討してきたが、今後はこの知見を踏まえ、自作サンプルを作製してその防護原理が織物材料が異なった場合にどのように変わってくるかを明らかにする。現在の予想としては材料が変わっても絡み織の通気性の有利さは変わらず、一方で高強度な材料になるほど絡み織の耐突刺し性に関するメリットが大きくなると考えている。
実験方法はすでに確立できている一方でサンプル作製は新たな課題であり、基本的な環境は既に整っているもののそれに必要な時間や工程の管理が研究の推進において課題となる。

次年度使用額が生じた理由

当初予算の見込みよりも効率的に実験が進み、支出を抑えることができた。研究を先行してさらに進めるために次年度予定の物品の購入を検討したが、若干の予算の不足が見込まれ、かつ年度終了間近であったため次年度使用とすることとした。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額に関しては平成29年度請求額と合わせて絡み織物サンプル作製のための卓上織機およびその付属品と原材料などの購入をする予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 絡み織物の耐突刺し防護性2016

    • 著者名/発表者名
      萩原秀成, 坂口明男, 木村裕和, 鮑力民, 森川英明
    • 学会等名
      繊維学会
    • 発表場所
      山形大学(山形県米沢市)
    • 年月日
      2016-09-20 – 2016-09-21
  • [学会発表] 絡み織物の耐突刺し防護性能について2016

    • 著者名/発表者名
      坂口明男, 萩原秀成, 鮑力民, 森川英明, 木村裕和
    • 学会等名
      日本シルク学会
    • 発表場所
      東京農工大学(東京都小金井市)
    • 年月日
      2016-07-22

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公開日: 2018-01-16  

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