研究課題/領域番号 |
16K12705
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研究機関 | 小山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
酒井 洋 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90310648)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 界面活性剤 / Gibbs膜 / 吸着膜 / 超分子 / 洗剤 / 赤外分光法 / 紫外・可視分光法 / 反射スペクトル |
研究実績の概要 |
本研究は、新規洗剤の開発を目指し、洗剤に含まれる配合剤の研究を行う。洗剤の開発において、主成分である界面活性剤自体の改良と、付加価値を高めるための配合剤の研究は広く行われているが、それらに比べて、洗剤液の界面物性そのものを変化させる配合剤の研究は十分には進展していない。本研究は、配合剤分子の分子構造に着目し、界面活性剤と配合剤が作る「超分子」が洗剤液の気液界面に形成する吸着膜(Gibbs膜)の構造、さらにそのGibbs膜と表面張力を主とした界面物性との関連を明らかにして、界面活性剤使用量の低減化と洗浄効率のさらなる向上を目指そうとする試みである。 本年度は、まず、陰イオン界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウムに、アミノ基の位置が異なるフェニレンジアミンを種々の濃度で混合させ、表面張力を測定した。ドデシル硫酸ナトリウムの濃度を一定とし、フェニレンジアミンの濃度を変化させたところ、フェニレンジアミンの構造が異なると、その表面張力の変化の仕方が異なった。次に、それぞれのGibbs膜の赤外外部反射スペクトルを測定したところ、ドデシル硫酸ナトリウムのメチレン基に由来するバンドピークの強度に差が表れた。以上の結果から、フェニレンジアミンの構造に依存して、ドデシル硫酸ナトリウムとフェニレンジアミンが作るGibbs膜の構造が変化し、それが表面張力に反映されたことが示唆された。今回の結果は、配合剤の開発において、その分子構造の指針を与えるものであると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表的な陰イオン界面活性剤について、種々の比率で配合剤との混合溶液を作製し、表面張力と赤外外部反射スペクトルを測定し、配合剤の分子構造が、Gibbs膜に与える影響について明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
界面活性剤、配合剤の組み合わせについてさらに条件を変えて、表面張力と赤外外部反射スペクトルの測定を行うことに加えて、紫外・可視反射スペクトルの測定を行い、配合剤分子中の芳香環がGibbs膜中においてどのような構造をとるかを明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究発表した学会開催地が予定より近く、旅費がかからなかったため。また、最初に予定していた実験の一部を次年度に回したため。
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次年度使用額の使用計画 |
紫外可視反射スペクトルを測定する装置の購入を予定している。また、引き続き、界面活性剤を中心とした試薬を購入する予定である。
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