研究実績の概要 |
【目的】黄色ブドウ球菌はアトピー性皮膚炎の一因である。産卵鶏にS.aureus菌体抗原と起炎剤(アジュバンド)を注射し、卵黄中の抗S.aureus (SA)IgY抗体価測定を行った。将来的には、抗SA IgY抗体を配合したクリームなどでアトピー性皮膚炎の予防に利用できる可能性があり、本年度の研究では抗SA IgY抗体の生育抑制効果の評価を行った。
【方法】Control IgYまたは抗SA IgYを濃度0-10mg/mlに調整し、各IgY液とSA菌液を容積比1:1で培養した。37℃で0,4,6,8,12,24時間ごとにコロニーの大きさ、波長600nmにおける吸光度、ケミルミネッセンス法によるATPアッセイで経過を観察した。また、試料IgYの表皮ブドウ球菌に対する生育抑制効果、HPLCゲル濾過分析IgY定量法でIgYたんぱく質中のSAに特異的に結合するIgY量を評価した。
【結果】HPLCゲル濾過分析で、抗SA IgYたんぱく質中の特異的抗体量は、SA菌体に結合する18.1%に対して、表皮ブドウ球菌で9.4%と約2倍多かった。また、Control IgY存在下のSAの増殖に対して、抗SA IgY存在下では、SA菌増殖曲線の誘導期を遅延させる生育抑制効果を有することが分かった。その生育抑制効果は抗SA IgY濃度10mg/ml で約4時間であったが、表皮ブドウ球菌の増殖には遅延効果がなかった。
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