小麦粉グルテンはアレルギーやセリアック病の原因成分であるため、これらの疾患のある人はその摂食を制限されている。本研究では、追熟バナナのグルテン代替となる特性に注目し、追熟バナナのグルテン代替に関する特性とその成分を明らかにすることを目的とした。なお、評価は小麦澱粉に凍結乾燥した追熟バナナ(FB)を添加した製パン試験により行った。 市販青バナナの熟成条件は、20℃、2週間が最も適していた。FBの添加量は10%、加水量は70bakers%が最適で、酵母の発酵のための糖類の添加は不要であった。次に、FBに含まれるグルテン代替成分について検討するため、透析膜を用いて分画を行い、6-8kD以下の水溶性低分子画分(画分1)、6-8kD以上の水溶性高分子画分(画分2)、水不溶性画分の3画分に分けた。これら3画分の内、グルテンの代替成分は画分2に含まれることが明らかになった。画分1には、低分子糖類としてグルコース、フルクトース、スクロースが含まれていた。画分2に含まれるグルテン代替成分の候補としてペクチンが考えられたので、ペクチンについて検討を行った。画分2からアルコール不溶性画分(AIS)を調製し、溶解性の差を利用して4種類のペクチン(水溶性、キレート可溶性、酸可溶性、アルカリ可溶性)に分け定量を行ったところ、キレート可溶性ペクチンが最も多く含まれ348mg/g・AISであった。 最終年度では、画分2から更に透析膜による分画を行い、8~12kD、12~50kD、50kD以上の3画分を調製した。製パン試験の結果、50kD以上の画分が有効であることを見出している。また、他のペクチン(リンゴとシトラス)との製パン試験の比較を行ったところ、製パンに使用する量がFBでは1/5量以下でも製パンに有効であることを見出しており、その構造を今後確認予定である。
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