本研究は、調理実習において調理技術の適切な指導および学習環境の充実化を可能とする調理実習支援システムの開発を行うことを目的としている。 管理栄養士・栄養士養成課程における調理実習の進行方法は、教員が示範台で調理方法を見せ、学生はメモをとり、そのメモを確認しながら実習を行うことが一般的である。しかし、実習の工程は非常に複雑であること、衛生的な観点からも教材やメモを確認することが困難である。したがって、上記に対応する支援システムは重要な研究課題であるが実施されていない。しかし、情報教育分野では、情報処理技術を効果的に向上または容易に理解を深められるように映像資料の配信・記録を用いて視覚的に学生の学びを支援するシステム(e-learningや教員モニタ共有システムなど)が活用されている。これらの情報処理技術を調理実習にも活用することが十分可能と考える。 平成29年度は「実習後の学生の自己学習や教員による学生の調理状況が確認可能な実習モニタリングシステムの開発」を行った。また、システムの操作検証を行うため、栄養士養成課程の教員を対象に指導方法の有効性や操作体験を行った上でアンケート調査を実施し、システムの有効性および教育の有効性についても検証した。 システムの開発はMicrosoft Visual Studio.Net C#を用い、ネットワークカメラが提供している情報を活用してMicrosoft Windowsが搭載されたパソコンであれば動作するアプリケーションを開発した。アプリケーションの画面構成は中央にカメラの映像が表示されサイドに教員用・学生用の操作メニューが配置される。また、システムは複数の学生や教員がネットワークを介して利用することを想定し、情報の管理はアプリケーションと別に情報管理用のデータベースおよびファイル管理用システムを構築した。
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