平成30年度では、コホート情報である検体情報、基本情報などから推定塩分摂取量を算出すると共に、塩分嗜好性に関係する調査票の質問項目を用いてゲノムワイド関連解析を行った。これにより塩分感受性新規責任遺伝子群の候補の発見に成功した。またこれら責任遺伝子の候補についてパスウェイ解析など既存の文献との間の関連について調査し研究成果をまとめている。さらに、これらの方法で調査した塩分嗜好性と、検体情報から算出した推定塩分摂取量との間に因果関係があるかどうかについて、メンデルランダム化の手法及びポリジェニックリスクスコア(PRS)を用いて検定を行った。また、コホート分野の先生方のご意見を伺い、解析集団の中に医師の指導などによって行動を変える人が含まれている場合を想定し、解析に含めるべき集団の検討を精査し再設定していく必要があるとの意見を頂き、直近の課題として検討する。 またこれまでの解析及び先行研究から、調査票情報は他の検査値と比較して関係性の有意差が出にくいことが判明してきているが、次年度において利用できる検体データ数がこれまでの10倍程度と飛躍的に増加する公算となったため、検体数を増やして再度関連解析の実施に向けて準備中である。 また食生活と健康に関する国内研究会において講演依頼及び関連する原稿依頼があり、これまで調査を行ってきた行動様式、食嗜好性、塩分嗜好性、味覚感受性、代謝能力、関連解析について、ヒトを含め様々な生物種を含めて検討を行い研究の全体像をまとめているところである。
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