本研究課題の目的は、骨格筋量を制に調節するフラボノイドの機能発現が、タンパク質栄養とどのような関係性があるかを明らかにすることであった。マウスを用いた動物実験を実施し、タンパク質供給量が異なる給餌において、フラボノイドが骨格筋の回復を高めるか否かについて検討を行った。この試験では、タンパク質供給量を少なくした場合にはフラボノイドの骨格筋回復促進効果が減弱する傾向を認めた。これらの骨格筋におけるアミノ酸トランスポーターの発現量の変化を確認したが、骨格筋量の変動と関連する発現量の変化は認められなっかった。このことから、フラボノイドの骨格筋量調節作用には、タンパク質供給が充足していることが必要であることが分かった。 続いて、同様のフラボノイドの投与量を変化させた場合の骨格筋中のアミノ酸量の変化を確認した。予想に反してフラボノイドの濃度依存性は確認できなかった。また、骨格筋量の調節に寄与するとされる分岐差アミノ酸の量にはフラボノイドが影響を与えないことが分かった。同様のサンプルを用いて骨格筋中の代謝物分析をCE-MSメタボローム解析を用いて実施した。しかし、フラボノイドの投与容量が高いほうが代謝物の変動が少なく、骨格筋量の調節作用とは連動しないことが分かった。 今回の研究成果では、タンパク質供給量が充足している場合にフラボノイドの効果が発揮されることを明らかにできたものの、アミノ酸やそのトランスポーターとの関連は仮説と異なる結果を得ることとなった。
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