研究課題/領域番号 |
16K12725
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
榊原 啓之 宮崎大学, 農学部, 教授 (20403701)
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研究分担者 |
窄野 昌信 宮崎大学, 農学部, 教授 (70253515)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生物時計 / マメ科植物 / ダイズ / エダマメ / 就眠リズム / 抗酸化活性 / イソフラボン |
研究実績の概要 |
動植物体内には広く生物時計が存在しており,体内で見られる様々な生命現象が約24時間周期のリズムを刻んでいる。しかしながら,植物性食品の体内で刻まれているリズムや含有成分,機能性に与える作用についての情報は萌芽状態である。そこで本研究では,就眠野菜の体内で刻まれている生物時計に着目し、含有成分や機能性を経時的に追跡することで、野菜には機能性の観点から最適な収穫時刻があることを導き出すことを最終目的として実施している。平成28年度は,就眠リズムを刻むことが知られているマメ科植物であるダイズを用い,以下の成果を得た。 1.主要な大豆品種の1つであるフクユタカを導入した人工気象器を用いて長日環境下で発芽させた後,恒常的明条件下で葉の日内挙動を撮影し,ダイズの葉は明確な就眠リズムを刻むことを見出した。 2.暗期開始時(ZT14)および明期開始時(ZT0)に採取したダイズ葉およびエダマメが有する抗酸化活性をDPPHラジカル消去活性試験を用いて評価した。ダイズ葉の抗酸化活性は,暗期開始時(ZT14)に比べ明期開始時(ZT0)に高まることを見出した。一方,エダマメについては,DPPHラジカル消去活性試験でその効果を測定することができなかった。 3.ダイズに含まれている代表的な機能性成分であるイソフラボンの生合成経路を司っている二つの遺伝子(C4H、IFS)の発現量が夕刻(ZT14)に顕著に低下するとともに,総イソフラボン量は夕刻が朝方に比して若干減少することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の最終目的である「野菜には機能性の観点から最適な収穫時刻があることを導き出す」の鍵となる成果として,機能性(抗酸化活性)と機能性成分(イソフラボン類)の観点から「朝方の機能性が夕刻よりも高まるかもしれない」との結果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
本提案課題最終年度となる本年度は,次の課題を中心に推進していく。 (1)短時間の紫外線照射後の成分・機能性の強度・生合成関連因子の発現量の変化。具体的には,未熟ダイズ(エダマメ)の収穫時期に、恒常的暗期下に3日置くことで光刺激による影響を取り除いたのち,太陽光線を1時間照射する。その後,継時的に採取した試料の機能性を平成28年度と同様の手法を用いて評価する。 (2)自然栽培中ダイズに含まれる成分・機能性・生合成関連因子の日内変動リズム。平成28年度に人工気象器で得た成果を実際に露地栽培でも追跡する。 (3)収穫後野菜の機能性を守るための保蔵方法の探索。収穫後のエダマメを温度や光照射条件等が異なる環境下で保存した時の変化について追跡する。 (4)ダイズ以外の野菜への応用の可能性
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