2019年度には、栄養ケア計画書250名分をNvivo(質的研究支援ソフト)を用いて分析した。従来型の介護老人福祉施設での栄養ケアマネジメントと新型ユニットにおける「24時間シート」に組み込まれた栄養ケアマネジメントでは、24時間シート型の栄養ケア計画書の方が、利用者のニーズを反映する個別性を有し、自立に繋がる細かなサービスが提供されていた。また、栄養ケアマネジメント提供後の評価も、24時間シートとの中に組み込まれている方が良好であった。 本研究は、「要介護高齢者」を対象とした「栄養ケアマネジメント」を質的に評価し、妥当性を検証し、介護保険制度に適した「栄養ケアプロセス」の確立を目指すものである。このため、現行の「栄養ケアマネジメント」の妥当性を検証するために、利用者に実際に提供された「栄養ケア計画書」の提供を受け、それらの質的・量的な検討を行った。研究実施計画では、運動機能障害やリハビリ、褥瘡のケアについても専門の研究者の分析や示唆を仰ぐことを想定していたが、介護老人福祉施設における「栄養ケアマネジメント」では、認知症高齢者の食行動関連障害に対する食事支援や多職種連携による栄養ケア、並びに、栄養ケアマネジメントにおける「中リスク者」のケアが中心であり、今回提供を受けた「栄養ケア計画」では、リハビリや褥瘡のケアは殆どなっかた。特に、「介護が必要な状態になっても普通の生活を営む」ことを目指し、介護保険の理念である「生活の連続性」を重視したユニットケアでの「栄養ケアマネジメント」を対象に分析を行い、認知症高齢者の自立に繋がる食事支援では「24時間シート」と「栄養ケア計画」を併せて提供することが有効であると考えらえた。
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