研究実績の概要 |
糖尿病は血糖コントロールの可否や長期化によって合併症をひきおこし,合併症の原因の1つである血管障害は, 様々なQOLの低下や要介護, 寝たきりにつながる. 本研究は糖尿病の合併症予防のために, 寝たきりの人や運動と併用して実施可能な, 食品栄養成分による血管病変を予防改善する栄養サポートの構築を目的とした. これまでの実験で, 慢性的な高血糖曝露は骨格筋のクエン酸シンターゼ(CS)活性の低下や毛細血管の退行を引き起こした.微小血管の改善を誘導する食品成分について多種類の成分を選択し, in vitroの実験系で血管安定化因子、血管増殖・血管増殖抑制因子等の調節系を作用機序別に分子レベルで探索した.さらに血管障害改善の食品成分の候補を絞り込み, これらをin vivoにおいてモデル動物に経口投与し,主に下肢ヒラメ筋等を用い微小血管への影響を中心に分子レベルで解析・検証した. その結果,プロポリスやアスタキサンチン等の食品成分や,発酵食品抽出物において三次元構造解析による血管退行の抑制結果が得られ,その作用機序の解明を行った.特にタンパク・遺伝子発現,3D解析を統合して,糖化から引き起こされる酸化ストレスと血管構造について検証を行った.核蛋白質やハーブ抽出物において毛細血管の支持体である骨格筋の萎縮予防を促し,プロポリスやアスタキサンチンや発酵抽出物において3次元血管障害を改善する結果が得られた.食品由来成分の影響を分子レベルで検証し,モデル動物における血管構造を可視化し, エビデンスにもとづく血管障害予防・改善因子による栄養サポートへの応用が示された.
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