研究課題/領域番号 |
16K12734
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研究機関 | 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー |
研究代表者 |
嶋田 耕育 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー, 未病改善食品評価法開発プロジェクト, 研究員 (50634185)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 孤独ストレス / 脳機能 / トランスクリプトーム解析 / 行動試験 / 機能性食品 |
研究実績の概要 |
(目的) 本研究は、孤独によるストレスが脳機能や脳及び書く末梢臓器での遺伝子発現に対してどのように影響するかを網羅的に解析し、得られた解析データをもとに孤独ストレスに対して軽減効果を示すような食品の3次機能成分の探索を行うとともに孤独ストレス軽減メカニズムの一端の解明することを目的とする。 (結果 )予備検討として6 週齢の成熟若マウス(C57BL6/J)を 2 週間、以下の条件の下で飼育した。飼育群として以下の2群(個別飼育群(1mouse/cage)(N=3),群飼育群(3mice/cage)(N=1))を設定。通常飼料を給餌し、給水、給餌共に自由摂取で飼育を継続した。2週間の飼育後、脳各部位及び肝臓をはじめとした各臓器を採取し、Total_RNAを抽出した。得られたTotal_RNAよりmRNA,smallRNAの2種類のLibraryを作成し、次世代シークエンサー解析に供しトランスクリプトーム解析を実施した。脳各部位のmRNA及びmiRNAのトランスクリプトーム解析を実施した結果、孤独ストレスに鋭敏に応答する脳領域及び臓器が明らかになった。さらに脳部位間において一部の遺伝子発現に相関が認められたことから孤独によるストレスは脳部位間で協調的、または反協調的な遺伝子発現を伴っていることが示唆された。また同飼育条件下において複数の行動解析試験を実施した結果、群飼育群と比較して個別飼育群において一定の行動様式の変化を捕まえることができている。以上の結果より孤独によるストレスが各脳部位でどのような遺伝子発現変動を伴い、また行動様式に対してどのように影響するかの様相が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた孤独ストレスに対する応答を確認するための行動解析試験、組織採材を含めた動物実験については終了しており、行動解析も完了している。得られたサンプルを次世代シークエンサーを用い、解析することで孤独ストレスに鋭敏に応答する脳部位などの特定に至っている。しかしながら一部のトランスクリプトーム解析において十分に解析が間に合っていない組織があり、現在鋭意解析を進行している。
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今後の研究の推進方策 |
これまで飼育条件に基づく孤独に対するストレスがマウスの脳機能や脳、その他臓器でのトランスクリプトームに与える影響についての基礎的な知見は初年度に得られている。今後、得られたデータを元に孤独ストレスに対して緩和機能を有するような機能性食品素材を複数検討することを進める。孤独ストレスに対して緩和効果を持つような機能性食品素材を探索すると共に機能性食品素材が孤独ストレスに対してどのように緩和する機構を持つのか、またそのメカニズムについて解明を随時進める。
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