研究課題
近年1 滴の血液や尿から、網羅的に代謝物を測定できるメタボローム解析により、今まで検討する事ができなかった代謝物やその代謝経路を明らかにできるようになった。肝切除周術期に、どの代謝物が、どのように変動するかを明らかにするため、血液及び尿を採取し、周術期に代謝物の変動を検討した。対象は、肝癌肝切除患者16名とした。キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)を用いて、早朝空腹時の血清を、術前、術後1、3、14日目(S0、S1、S3、S14)、および尿を、術前、術後3日目(U0、U3)に採取し、測定を行った。また、術前および術後14日目に、間接熱量計で安静時エネルギー消費量(REE)と非蛋白性呼吸商(npRQ)を測定した。肝切除後は、3日目に血清cis-Aconitate、isocitrateは低下したが、14日目には増加した。Glutamineは、3日目、14日目ともに低下した。glutamateは、術後1、3、14日目に有意な変動はみられなかった。Isoleucineは術後3日目に、valineは術後1、14日目、Leucineは術後14日目に低下した。尿中3メチルヒスチジンは、術後3日目に増加した。また、術前に比較して術後14日目に、REEは変動がみられなかったが、npRQは低下した。臨床研究は、採取できる血液量や評価できる項目が限られている。そのため、アウトカムは入院日数、血液生化学検査、炎症反応など、断片的な評価にとどまる。血清及び尿をあわせて網羅的に解析することで、周術期の詳細な変動を評価することができた。
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