研究課題/領域番号 |
16K12743
|
研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
増田 裕次 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (20190366)
|
研究分担者 |
倉澤 郁文 松本歯科大学, 歯学部附属病院, 教授 (60131059)
中村 典正 松本歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (60533130)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 咀嚼回数 / 筋電図 / 下顎運動 / Bland-Altman法 |
研究実績の概要 |
平成29年度の研究では、外耳道ひずみを一定のアルゴリズムを持って計数することで、より簡便かつ正確に咀嚼回数を測定できるかどうかを明らかにすることを目的とした。さらに、物性の異なる食品を咀嚼した時の計数の特徴を明らかにすることを目的とした。 成人男性14名(27~55歳)を対象とした。すべての被験者には自覚的な顎関節症の症状は認められなかった。線維性の高い食品や破砕性の高い食品を用い、咀嚼側の指示以外は被験者が食品すべてを嚥下するまでに要した咀嚼回数を計数した。これらの食品を1回目は右側のみで咀嚼するように指示し、2回目は咀嚼側を規定せず、自由に咀嚼してもらった。装置による咀嚼回数のカウントは、外耳道内センサーで記録した外耳道ひずみの波形を装置内のマイコンにて、2秒をワンブロックとして、自己相関関数を算出し、咀嚼と判定したブロックに推定された咀嚼回数を計数し、積算することで行った。左側外耳道のひずみと同時に左右側咬筋筋電図を記録し、整流・スムージングした波形から、各バーストのピークの数を自動計測した。装置による積算数(咀嚼回数)と、同時記録した咬筋筋電図から得た咀嚼回数の一致をBland-Altman法で分析した。 その結果、個人間に有意な相違が認められ、個人差の大きいことがわかった。ほとんどの記録で、咀嚼回数に比べて95%一致限界が小さく、双方の計数の一致度は高かった。食品別に一致度の比較を行うと、95%一致限界の範囲が狭い食品を認めた。右側咀嚼時では2つの計数値の差の平均値が多くの食品の場合にマイナスの値を示し、破砕性の高い食品の方が一致度は低かった。自由咀嚼時の2つの計数値の差の平均を右側咀嚼のものと比較すると、全体的に下方に偏移した。本研究により、個人差や食品による影響はあるものの、外耳道のひずみの計測から咀嚼回数が計数できる可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Bland-Altman法を用いると、外耳道ひずみの波形から得られた咀嚼回数と筋電図から得られた咀嚼回数の一致度がたかいことが明らかとなった。食品による影響はあるものの、外耳道のひずみの計測から咀嚼回数が計数できる可能性が示された。外耳道ひずみの測定の安定性を得るために、センサー部をカスタマイズして作製することを試みたが、完全に満足の行く安定性が得られていないので、今後も改良試作を行って行く。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度から取り組んでいるセンサー部をカスタマイズして作製することを継続して行い、測定波形の安定性を得るようにする。下顎運動との関係もより詳細に調べることで、本研究の目的である咀嚼回数計数装置の開発に大いに寄与できると考える。
|
次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の支出が少し少なくなったためで、次年度の消耗品費として利用する
|