研究課題/領域番号 |
16K12746
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
大池 秀明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門 食品健康機能研究領域, 主任研究員 (30455307)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 概日リズム / 時間栄養学 / マウス / 肥満 / シフトワーク |
研究実績の概要 |
エネルギー代謝は概日リズム(体内時計)の下流で制御されていることから、食事や運動がエネルギー収支に与える影響は、そのタイミングによって異なることが考えられる。ここでは、マウスを利用して、食餌や光のタイミングを変化させることで、体重に与える影響を検討した。光環境について6種類【12:12時間で固定、12:12時間で週2回6時間の変動(前進、後退、前進と後退の交互)、1:1時間で固定、明期が1日あたり1.7時間短い22.3時間の周期】、食餌時刻についても6種類【24時間自由、12時間固定、12時間で週2回変動(前進、後退、前進と後退の交互)、1日22.3時間周期の中の12時間】の条件について比較検討した。それぞれの条件で2ヶ月間の試験を実施した結果、光環境を変化させた条件で体重増加(肥満)の傾向が認められた。明暗周期を12:12時間の特定の時刻に固定した群と比較して、週2回6時間ずつ後退させた群が最も体重の増加が大きく、週2回6時間ずつ前進させた群、明期を1.7時間短縮させた群、明暗を1:1時間で固定した群においても体重の増加が認められた。明暗周期を12:12時間で固定したまま、食餌タイミングを変動させた条件では、摂食タイミングが暗期に偏り総摂食量が低下したことから、いずれの群においても体重増加は認められなかった。また、それを避けるために、明暗を1:1時間で固定した条件においては、自由摂食群を含めたすべての群で、体重が増加する傾向にあり、食餌条件の違いが反映されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光条件の変化による体重の増加(肥満)が確認されたことから、当初の計画通り、この条件を利用して肥満の原因を解明する研究に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、光環境を12:12時間で週2回6時間ずつ後退させる条件で、肥満が誘発されるメカニズムを解明すべく、酸素消費量や呼吸商の測定を行っている。また、最近の他研究者の報告によると、短期的な食事タイミングの変化によって肥満が誘発されている条件では、臓器間の時計遺伝子の発現リズムがずれていることから、これが肥満誘発の原因である可能性が考えられる。そのため、各臓器の時計遺伝子の発現を比較し、臓器による時計の脱同調が肥満を引き起こす可能性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した物品が定価よりも安く納品されたため
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次年度使用額の使用計画 |
研究の遂行を促進させる試験物品の購入に利用する
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