本研究では、アメリカとオーストラリアで開発され、妥当性の検討ができているスマートフォンの食事調査のアプリケーションを日本で使用するための準備を行った。初年度には、開発者とのディスカッションにより、日本で活用するために必要なデータベースについて情報交換をおこなった。また、このアプリケーションは、スマートフォンを用いて撮影した食事の写真をもとに、食事内容を自動判別するために、写真撮影の条件が設定されている。その撮影条件が日本の食事において活用が可能かの検討を行った。 1.写真から自動判別を行うための食事撮影条件である撮影の角度、基準となるマーカーを置いての1週間の食事の写真撮影を栄養学専攻の学生及び他学部の学生に依頼した。それらの写真を自動判別に必要な項目をもとに適切さの判断を行った。その結果、日本では深さのある食器が多く使用されており、指定された角度での撮影では、容器の中の食事が十分に撮影されない場合が多くみられた。また、食器数が多いことが多く、すべてを1枚の写真に撮影しようとすると、自分の食事の一部が欠ける写真や他の人の食事の写りこみが多くみられた。本内容については、現在、投稿準備中である。 2.写真からの食事調査では、料理を分解して栄養計算をするのではなく、料理単位での栄養素のデータベースが必要であるが、国内には適切なデータベースが存在しなかった。そのため、国民健康・栄養調査の二次利用により、代表的な料理について食材の種類、重量を整理し、料理単位のデータベースを作成した。このデータベースについては、引き続く科研費の研究において、試用し改善を加えたうえで公表を予定している。
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