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2017 年度 実施状況報告書

教材化を目指した温室効果検出への再挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 16K12749
研究機関東京学芸大学

研究代表者

土橋 一仁  東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20237176)

研究分担者 松本 伸示  兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70165893)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード地球温暖化ガス排出削減 / 大気現象 / 地球観測
研究実績の概要

本実験器を実現するための問題は、可視光から中間赤外線にわたる波長帯で透明な容器を開発することである。「空気箱」と名付けたこの箱を真空に引いたアクリル製の大型の実験器の中に設置し、1気圧の二酸化炭素または窒素を封入して実験を行っている。1気圧の圧力差に長時間耐えられるよう、空気箱本体はステンレス製にしてあるが、その窓材としては、可視光から中間赤外線で透明なものを使用する必要がある。これまで、FTIRなどの赤外線分光計にもしばしば利用されている岩塩を我々の実験器の窓材として実験を行ってきたが、岩塩は結露に弱く、実験の再現性を担保できないことがわかった。そこで本研究では、岩塩の代わりに窓材としてユーピロン・シートやナイロン・シートを導入することにした。これらの素材には、2μmや8μm付近に芳香族特有の強い吸収線が見られるが、シートを薄くすると、ほとんどの波長で80%以上の高い透過率を確保できることが期待された。しかし、実際に薄いユービロン・シートを装着してみると、強度的に1気圧の圧力差に十分耐えることができず、予想していた以上に変形したり、破損してしまうことがしばしばあることがわかった。そこで、本年度は、シート厚の調整等の改良を実験装置に施して、実験を再開した。しかし、実験を繰り返しているうちに空気箱が破損してしまい、実験を中断せざるを得なくなった。実験装置(空気箱の窓周辺部)の耐圧性に問題があり、これを改善する形で修理を進めているが、一連の問題を解決するためには、多少時間がかかる見込みである。

上記の他、小学校~高校の理科の授業で使える地学教育(天文学・地球物理学・古生物学)に関連した教材開発にも取り組んだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

温室効果再現のための実験器の一部である「空気箱」の窓材として薄手のユーピロン・シート及びナイロン・シートを導入し、窓の小型化を図るなどの減圧による窓材の変形をできるだけ抑えるよう工夫を重ねながら実験を行っていたが、実験を繰り返しているうちに空気箱の一部が破損してしまった。空気箱を補強する形で修理を進めているが、耐圧性の強化など、問題点が多い。これらを解決して実験を再開するまでには、暫く時間がかかる。

今後の研究の推進方策

実験器の主な破損箇所は、空気箱の窓材を取り付けるための金具と窓材そのものである。実験を繰り返すうちに薄い窓材は変形し、やがて1気圧に耐えられず破損する。また、実験データをみると、真空に引いているにも関わらず結露した形跡が見られることもある。明確な原因はわからないが、実験に使用するガスの乾燥度が足りない可能性がある。変形した金具については最適なサイズ・形状を再検討した上で制作しなおす。また、ガスについては、これをさらに乾燥化することが可能か否か、再度検討する(冷却し、より脱水する等)。

次年度使用額が生じた理由

実験装置の故障により、実験の中断を余儀なくされたため、実験に関わる経費(実験補助やデータ解析のための謝金等)を次年度に繰り越した。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2017 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Observations of Cyanopolyynes toward Four High-mass Star-forming Regions Containing Hot Cores2017

    • 著者名/発表者名
      Taniguchi Kotomi, Saito Masao, Hirota Tomoya, Ozeki Hiroyuki, Miyamoto Yusuke, Kaneko Hiroyuki, Minamidani Tetsuhiro, Shimoikura Tomomi, Nakamura Fumitaka, Dobashi Kazuhito
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 844 ページ: id.68, 12pp.

    • DOI

      10.3847/1538-4357/aa7899

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Correlation of gas dynamics and dust in the evolved filament G82.65-02.002017

    • 著者名/発表者名
      Saajasto M., Juvela M., Dobashi K., Shimoikura T., Ristorcelli I., Montillaud J., Malinen J., Pelkonen V. M., Feher O., Rivera-Ingraham A., Toth V., Montier L., Bernard J.-Ph., Onishi, T.
    • 雑誌名

      Astronomy & Astrophysics

      巻: 608 ページ: id.A21, 22pp.

    • DOI

      10.1051/0004-6361/201630005

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] A Statistical Study of Massive Cluster-forming Clumps2017

    • 著者名/発表者名
      Shimoikura Tomomi, Dobashi Kazuhito, Nakamura Fumitaka, Matsumoto Tomoaki, Hirota Tomoya
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 855 ページ: id.45, 28pp.

    • DOI

      10.3847/1538-4357/aaaccd

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 理科を専攻としない教員志望学生への「月の満ち欠け」の教育の必要性2017

    • 著者名/発表者名
      下井倉ともみ、土橋一仁
    • 雑誌名

      地学教育

      巻: 69 ページ: 211-227

    • 査読あり
  • [雑誌論文] N2H+分子輝線の解析法を学ぶための学部生用天文教材の開発2017

    • 著者名/発表者名
      広瀬亜紗、土橋一仁、下井倉ともみ、西浦慎悟
    • 雑誌名

      地学教育

      巻: 70 ページ: 63-77

  • [雑誌論文] 小学校理科の授業で天体望遠鏡を使おう!-初心者によくあるトラブルとその対策-2017

    • 著者名/発表者名
      土橋一仁、下井倉ともみ、西浦慎悟、中田正隆
    • 雑誌名

      東京学芸大学紀要 自然科学系

      巻: 69 ページ: 129-135

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 小中学校理科での活用を念頭においた地学教材「太陽系の旅-銀河系の回転と地質年代-」の開発2017

    • 著者名/発表者名
      清水今日子、土橋一仁、下井倉ともみ、佐藤たまき、生田巳裕、鉄矢悦朗
    • 雑誌名

      東京学芸大学紀要 自然科学系

      巻: 69 ページ: 137-142

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 「太陽系の旅 銀河系の回転と地質年代」の教材開発2017

    • 著者名/発表者名
      下井倉ともみ、土橋一仁
    • 学会等名
      日本天文学会秋季年会
  • [学会発表] 小学校の授業で天体望遠鏡を使おう!初心者によくあるトラブルと対策2017

    • 著者名/発表者名
      土橋一仁、下井倉ともみ、西浦慎悟
    • 学会等名
      日本天文学会秋季年会
  • [学会発表] N2H+分子輝線の解析の学部生向け教材の開発2017

    • 著者名/発表者名
      広瀬亜紗、土橋一仁、下井倉ともみ、西浦慎悟
    • 学会等名
      日本天文学会秋季年会
  • [備考] 東京学芸大学 暗黒星雲博物館 地学教材

    • URL

      http://darkclouds.u-gakugei.ac.jp/public/museum/material/material.html

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公開日: 2018-12-17  

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