研究課題/領域番号 |
16K12755
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
熊野 善介 静岡大学, 教育学部, 教授 (90252155)
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研究分担者 |
齊藤 昭則 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10311739)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ダジック・アース / STEM教育 / 21世紀型の資質・能力 / ビックデータの活用 / 知識生成型学習 / 工学的思考と科学的思考 / イノベーション思考 / 地学教育 |
研究実績の概要 |
本研究は宇宙・地球科学イノベーションを活発化するためのSTEM教育の事例研究と位置付けられる。そのために、1年目は、宇宙・地球イノベーションの過去と現在のデータ収集とダジック・アースの活用の方略を探ることが本年度行うべきことである。 1.今年度の5月に、新しくオープンした、「ふじの国地球環境史ミュージアム」にダジック・アースの1セットを貸与し、静岡大学の大学院生を中心にインフォーマルな科学教室での協働での授業開発を提案し受け入れていただいた。2.7月に藤枝市教育委員会との連動で生涯学習センターにて、インフォーマルな科学教室として、学部3年生の演習の一環として、ダジック・アースをより深い学びが起こるような授業モデルの開発をともに考え、実践することができた。3.8月に静岡大学にて、牧之原市の小学校5,6年生に同様のSTEM教育としての、探究学習を組み立て、実践することができた。4.アジアの国々から集まった、各国の科学カリキュラム開発者、科学教育研究者にSTEM教育教材としてのダジック・アースの活用方略について示し、21世紀型の資質・能力を高める教材として、高い評価を受けた。5.静岡県教育委員会との連携プロジェクトとして、約20名の高校生に対して、ダジック・アースを活用した探究学習を試み、高校生がどのようなグループでの探究学習ができるかについて、検証的な実践研究ができた。6.文部科学大臣官房国際課からの招聘で、インドネシアのバンドンにあるSEAMEOでの理数の教員研修、ならににインドネシア国立教育大学での大学院での研修の一部として、日本からのSTEM教育教材として、ダジック・アースの紹介事例を述べることができ、さまざまな評価を得ることができた。7.3月にダジック・アースの開発者、実践研究者が集まり、今後の展開について話し合うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、日本において急速に領域横断的な研究の促進がなされているが、学校教育や学校外教育にそれらの視点が不足しており、出来上がった科学の学習から、どのように純粋科学が工学・農学・情報学・医学等と連携して、あたらしい技術が生み出されるのかを意図的に学習のプロセスに埋め込むことが、未来の科学技術の発展のために欠かせない要素であるとして、以下の点があげた。 (1)これまでの地球宇宙科学の領域におけるイノベーションがどのようなプロセスで展開されてきたかを活用授業のための事例として作成すること。特に、宇宙地球科学(理学系)と工学系・農学系・情報系・医学系との連動連携から生まれているイノベーションを探る。(2)現在、日本や諸外国で起こっている、地球宇宙科学におけるさまざまなイノベーション研究を類型化し進捗状況を確認し、教材化を図る。このとき、ダジック・アースのコンテンツと対応させる。(3)現在日本全国、海外でダジック・アースを活用している教育現場から、児童生徒が見つけることが可能な科学的発見に関して、コンペティション等を提案して収集する。これらに関しての自由研究を促す。特に、3次元の情報と2次元の情報分析のどちらが、より科学的な思考を深められるかを分析する。(4)これらの児童生徒自らの発見を類型化し、小中高の理科の授業、総合的な学習、高等学校における課題研究と繋げるための、授業研究の展開モデルの作成と実践研究。 平成28年度において、上述のとおり、7つの展開がなされた。どの項目も具体的に展開はできているが、まだまだ開発途上であり、複数の発表はできたが、具体的なデータベース、エビデンスベースの研究成果に繋がったとは言いがたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、理由のところで示した(3)と(4)を重点的に展開する。熊野研究室(静岡大学)と齊藤研究室(京都大学)が、最初の検討戦略会議を7月に行う。そして、夏休みを中心に日本国内外の調査を行う。7月に実践を展開している学校からの報告会と2年目に向けた研究計画の会議を行う。それぞれ、学部の学生並びに修士課程・博士課程の院生が積極的に関わるようにする。新しいコンテンツの開発は本研究費では対応できないので、京都大学の齊藤チームには、科学者・開発者という立場での関わり方をお願いし、他の予算獲得もお願いする。さらに、児童生徒の課題発見とそれから始まる自由研究にウェブを通して、科学者として助言指導を展開してもらう。2年目はNASAやNOAAを中心とした宇宙・地球イノベーションを展開している研究所の訪問を試み、児童生徒用STEMプログラムの調査ならびに意見の交換を行う予定である。(3)現在日本全国、海外でダジック・アースを活用している教育現場から、児童生徒が見つけることが可能な科学的発見に関して、コンペティション等を提案して収集する。これらに関しての自由研究を促す。そのようなケースを、現在、ダジック・アースを展開している学校等から広く集める。これらは齊藤チームが管理しているWebから発信し、協力する先生や児童生徒を募り、自主的な参加を促すことが可能である。 (4)これらの児童生徒自らの発見を類型化し、小中高の理科の授業、総合的な学習、高等学校における課題研究と繋げるための、授業研究の展開モデルの作成と実践研究。これらの自由研究や課題研究と宇宙・地球イノベーションがつながっていくことが予想される。平成29年度の共同研究交流先として、国内では京都大学と山形大学、海外はインドネシア国立教育大学やミネソタ大学STEM教育センターと行う。
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