研究課題/領域番号 |
16K12756
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 護 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (70335230)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 防災教育 / 地震災害 / 歴史地震 |
研究実績の概要 |
本課題では「石灯籠に昔の大地震のことを教えてもらおう」をテーマとした地震防災教育プログラムを設計する。近年,社寺に立つ古い石灯籠を用い歴史地震の揺れの特徴を推定した事例が報告されている.歴史地震で被災した石灯籠群からその建立年代や破損状況を考慮したうえで過去の揺れを推定する試みである。本研究課題ではこの分野の進展を受け,石灯籠を震災遺構として利用し、地震の揺れ方について学ぶ地震防災の教育プログラムを設計する。 文書記録等から知られている歴史地震の情報を基に、大地震を経験した石灯籠群を特定しその情報を収集する、また、各地で得られた歴史地震と石灯籠群の関係を整理し、それを教育プログラムとして用いる骨子を提示する、の2つが本課題の柱である。 初年度は、1)長野善光寺の石灯籠群について、そこから過去の震災についてどのような情報が読み取れるかを明らかにし、論文投稿した。また、2)2014年の地震で生じた長野善光寺の石灯籠の被害を整理し、過去の地震災害との対応を検討した。さらに、3)新規調査対象サイトの選出を行い、候補リストを作成した。実際の調査についてはまだその一部のみが進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の柱の一つである石灯籠群の調査によって歴史地震の知見を得ることができるであろう新規調査サイトの開拓は夏季および冬季の調査予定期間に荒天が続いたためにその進行が当初予定よりも遅れている。合わせて調査関係費用の支出も遅れている。他方、もうひとつの柱である過去に調査で得た情報の精査と解明においては、長野善光寺の石灯籠群に関する整理が大幅に進んでおり、この点は当初予定以上の進行となっている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に天候等のために十分に実行できなかった歴史地震を経験した石灯籠群の調査サイトの新規開拓については今年度継続してこれを行う。またこれまでの調査結果をまとめ、教材化するという視点で整理する作業にも年度頭から取り組んでいく。今年度に2回の国際学会発表の機会がある予定であり、この場でも積極的な議論を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
夏季および冬季に数度の野外調査を予定していたが、予定日が荒天となり危険回避のために調査を実行しなかった。その後手当てした代替日も同様に荒天となったため、初年度に予定していた野外調査の多くは実行に移せなかった。これに伴い旅費や調査関連費用の支出が遅れている。
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次年度使用額の使用計画 |
野外調査は本研究計画の柱の一つでもあることから、調査日程の候補日を多く確保するなどして当初計画通りの野外調査が実施できるように計画する。本務との関係で夏季・冬季の調査となる予定であるが、悪天候の可能性を考慮しつつ日程確保を行い実行に移したい。
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