研究課題/領域番号 |
16K12760
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川田 和男 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (10300633)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 技能 / 評価 / 一次遅れ+むだ時間 / 遺伝的アルゴリズム / 学習者モデル |
研究実績の概要 |
本研究は,制御工学的アプローチを用いてものづくりの技能を評価し,さらに技能獲得を支援するシステムの開発を主目的としている。そのため,平成28年度は以下の内容を実施した。 ①評価に用いる技能の選定(平成28年4月~平成28年5月):技能評価に関する検討を行った。技能評価に用いる作業として,きりによる穴あけ加工を採用した。また,文献調査により技能評価に用いている課題内容・実験内容を分析した。さらに,定量的な評価を行うための遺伝的アルゴリズムについて文献調査を行った結果,実数値型遺伝的アルゴリズムを用いることとした。この理由として,技能の評価に用いるデータが離散であること,またむだ時間の推定に適していることが挙げられる。 ②評価に用いる学習者モデルの検証(平成28年6月~平成28年7月):①で選定した技能を評価するための課題・実験を用い,学習者モデルとして「一次遅れ+むだ時間」モデルに適用し,3つのパラメータ(システムゲイン,時定数,むだ時間)の検証を行った。この理由といて,システムゲインは到達できる習熟度の最終値(漸近線)を示すことができ,時定数は急速な伸長が見られる成長期の傾きを示すことができ,むだ時間は学習が開始されてから習熟過程が始まるまでの時間を示すことができる。 ③技能評価システムの開発(平成28年8月~平成29年3月):①および②で得られた学習者モデルによる技能の評価を基に,コンピュータによりデータ取得・処理し,評価できるシステムの基礎開発を行った。このとき,個々の学習者モデルの3つのパラメータにより評価を表すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書通りの計画(①評価に用いる技能の選定(平成28年4月~平成28年5月),②評価に用いる学習者モデルの検証(平成28年6月~平成28年7月),③技能評価システムの開発(平成28年8月~平成29年3月))で進んでいる。ただし,実験データを取得するための被験者を大学生としているため,中学生のデータがとれるよう調整する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の予定では,④技能評価システムの教育現場での検証および支援システムの検討 (平成29年4月~平成30年3月)となっているため,技能評価システムを大学の実習や中学校技術科の授業において利用してもらい,教員および学生,生徒にシステムの評価をしてもらえるうよう調整を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の機器(高速デジタル信号処理ユニット)が,使用しているコンピュータのOS(Windows10)に対応していないことがわかり,以前より使用している古い機器を利用して実験を行った。この理由として,代替品を探したが,すぐに手に入れることができないこと(納期に時間が掛ること)がわかった。
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次年度使用額の使用計画 |
購入予定であった機器に性能が近いものを早急に探し,不便な古い機器と取り替えて効率良く実験を進める予定である。
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