研究課題/領域番号 |
16K12760
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川田 和男 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (10300633)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 技能 / 評価 / 一次遅れ+むだ時間 / 遺伝的アルゴリズム / 学習者モデル |
研究実績の概要 |
本研究は,制御工学的にアプローチすることでものづくりの技能を評価し,その評価を用いて技能獲得を支援するシステム開発を主目的としている。平成29年度は以下の内容を実施した。 ④技能評価システムの教育現場で検証および支援システムの検討(平成29年4月~平成30年3月):平成28年度の③で開発したICT技術を用いた技能評価システムを大学の実習で利用し,教員や学生の評価を試行した。このとき,技能評価システムと現場教員の評価との差異を考察した。技能評価には,木材加工で用いるきりの穴あけ作業や子どものブランコ漕ぎに適用し,考察を行った。 木材加工で用いるきりの穴あけ作業に関しては,穴あけ加工における力の掛け方を,機器を用いて計測し,過程を含めて定量的に評価を行った。科学的根拠による定量的に評価を行うための内容を精査するために,被験者11名のデータから調査を行った。その結果,効率の良い加工において,トルクとスラスト力の関係が加工穴の状態に影響があることがわかった。これらのことから,加工作業に,ICTを活用することで技能を可視化し,効率良く技能を習得支援できることが可能であることがわかった。 子どものブランコ漕ぎに関しては,ロボットを活用し基本的な運動技能の習得支援を検討した。バンデューラの社会的学習理論やピアジェの思考発達段階説の中で,子どもは,他者(モデル)の行動を観察することでその行動を学習し,模倣を通して実行に移せる能力があると述べられているため,これらを考慮した教育支援を行った。ロボットを活用した技能習得支援教育により,ロボットの示範行動をモデルとした観察学習により児童の技能習得に与える影響を評価・考察することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書通りの計画(④技能評価システムの教育現場での検証および支援システムの検討(平成29年4月~平成30年3月))で進んでいる。また,実験により得られた結果をまとめ学会誌に投稿し,2件掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の予定では,⑤技能獲得支援システムの開発(平成30年4月~平成30年12月),および⑥技能評価および技能獲得支援システムの教育現場での検証・まとめ(平成31年1月~平成31年3月)となっているため,教育現場で活用が容易なシステムにブラッシュアップする。 具体的には,⑤は平成30年度に検討された技能獲得のための,セルフチューニング制御を応用した支援システムの開発を行う。このとき,視覚,聴覚および触覚によるフィードバックにより個々の学習者に対応できるように工夫を行う。⑥は⑤で開発されたシステムを大学および中学校技術科の授業において再度利用してもらい,学生,教員,生徒にシステムの評価をしてもらう。最終的に,国内外の関連する学会等で発表を行い,同時に論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)教育現場で使用するシステムに利用するコンピュータの選定等に時間を要したためである。また,購入を考えていたものが品薄であったため,年度内に購入ができなかった。 (使用計画) 教育現場で使用に耐えるコンピュータを購入し,システムの構築を進める予定である。
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