研究課題/領域番号 |
16K12768
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
清水 洋一 琉球大学, 教育学部, 教授 (80226258)
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研究分担者 |
濱田 栄作 琉球大学, 教育学部, 准教授 (20413718)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エネルギー教育 / STEM |
研究実績の概要 |
沖縄県の多くの島は火力発電を主電源とする自立型の電力供給体制であり,電源構成に占める再生可能エネルギーの比率は他県に比べ極めて少ない。そのため,島しょ地域では,島の電力事情を反映させた独自のエネルギー教育プログラムの開発と実践が必要である。 今年度は,中学生を対象にエネルギーに関するアンケート調査を実施・分析(有効回答数255)し,島しょにおけるエネルギー教育の在り方について検討した。沖縄県の発電事情については,学年が上がるにつれ認知度が高かった。また,再生可能エネルギーについても,学年が上がるにつれ,肯定的な意見だけではなく,コストや効率についても言及していた。エネルギーに関する情報源は理科の授業が最も多く,2030年の電源構成比を考える設問では,太陽光・風力発電が高く,原子力発電は1~5%にとどまった。ただし,理科の授業でエネルギーについて学習した一部の3年生(エネルギーモデル校)は原子力発電25~30%が最頻値となった。本調査から,エネルギーの捉えた方が学齢で変化し,教科の学習を反映することが明らかになった。また,エネルギーモデル校など,学校全体の取り組みにより,エネルギーを多面的に考える力が身につくことが推測された。 調査で得られた知見をふまえ,パリ協定を踏まえた「地球温暖化対策計画」をベースとした問題解決型授業を西表島の中学校で実践し,「地球温暖化対策計画」を達成するための電力構成を島の需要実績や再生可能エネルギーの課題,離島間におけるエネルギー連携を考慮して生徒が主体的に考え,提案した。また,風車で発電した電気を蓄電し,走行するコンデンサーカーを安価な部品を用いて教材化し,エネルギーの安定供給に欠かせない蓄電について学習した。本実践以外にも,県内で10回のエネルギー教育講座を開催し,小学生から社会人まで約400名が受講した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,地域のエネルギー事情を反映したエネルギー教育プログラムの開発と実践を行い,地域に根ざしたエネルギー教育の有効性を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,生活の中からエネルギーについて考えることができる教材を開発する。また,エネルギー教育に資する沖縄県内の施設等のデータベース化に取り組むとともに,先進的取組みをしている他地域の事例について調査し,エネルギー教育プログラムの質を高める。さらに,今後の課題を検討するとともに,本研究で得られた成果を関連学会(日本エネルギー環境教育学会,日本理科教育学会,日本産業技術教育学会等)において発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
教材購入費および離島での調査・実践に係る経費が予定を下回った。当該助成金については,エネルギー教育に資する県内施設や先進的な取組みをしている他地域の事例調査に充てる。また,新たな教材開発にも着手し,エネルギー教育プログラムの質を高めるとともに,県内における実践についても推進する。
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