平成30年度は、平成29年度で構築した解析システムの高速化とユーザーインターフェースなどの検討を行った。
平成30年度からシミュレータの機能として並行平板に付随する配線など任意の形状を入力することが可能な構成に変更している。この変更に伴って、物体配置の自由度を高めることが可能になったが、解析空間を従来の40セル角から広げることが必要になり、これによる解析時間の増大が大きな課題となった。そこで、GPUプログラミングを新たに導入し、GPUプロセッサの並列計算で解析を行うことにより、200セル角で10分近くかかっていた計算処理を10秒以下で実行することが可能となった。 また、開発したシステムの使用感を確認するため、メイカーズフェアの場を借て、初学者の方に3次元電磁界シミュレータを試用してもらい、アンケートを行った。アンケートの結果、電磁界の視覚化の効果については好評を得ることができ、本シミュレータの有効性を確認することができた。しかしながら、シミュレーション動作やユーザーインターフェースについてのコメントもあり、シミュレータのさらなる改善が必要であることも示された。
平成30年度の研究成果については、「第20回IEEE広島支部学生シンポジウム(HISS:査読付き)」および「電子情報通信学会 総合大会」で発表を行い、HISSで優秀研究賞をいただいたほか、メイカーズフェア「つくろか」にも出展し、技術的な専門家からもコメントおよび評価をいただいている。
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