H28年度に引き続き、文部科学省が実施した「平成27年度全国学力・学習状況調査」について、国立教育政策研究所が示した「平成27年度全国学力・学習状況調査報告書 中学校理科」に示した授業改善のための「授業アイディア例」を、研究協力校の愛知県西尾市立平坂中学校の教師の発話分析と授業後のヒアリングを行い、授業改善を阻害する要因と促進する要因を抽出した。 新しい学習指導要領が目指す、主体的・対話的で深い学びを実現した資質・能力の育成については、義務教育の学校現場では従前から活動的な授業が展開されているが、高等学校においては十分ではない。そこで、平成29年度は高等学校で実証研究を進めるために青森県立青森南高等学校、青森県立田名部高等学校でも教師の発話分析と授業後のヒアリングを行い、授業改善を阻害する要因と促進する要因を抽出した。その結果、阻害要因としては、進学保障のための受験指導の内容が知識習得型であることが大きいといえる。また、促進要因としては、主体的・対話的で深い学びの授業を実践した教師は、「周囲と対話し、検証、考察することに楽しさや重要性を見いだしている生徒がいたことから、このような授業を実践することで、資質・能力の育成に繋がると考える。」、「今回はモデル実験を通して理解が深まったと答える生徒が多かったので、これから積極的に授業に取り入れていきたいと思った。」、「モデル実験にしろ、授業者が1人でアイディアを出し実践することは大変難しいと思う。学校内外にとらわれず、理科教員同士が繋がりを持ち、共に教材を開発していくことができたらと思う。」と回答していたことから、高等学校の理科の授業に科学的に探究するための観察・実験を取り入れた授業を開発するための理科教員同士が繋がりを構築することが重要であることが示唆された。
|