本研究は、視線計測装置を用いて教師の「みえ」を解明するとともに、その「みえ」を教師のリフレクションに援用することを通して、教師の「みえる」力の向上方策を検討することを目的としている。本年度は、下記の取り組みを行った。 1)現職教師と教育実習生の授業中の「みえ」に関する調査および分析:2016年度にデータを収集・記録した視線映像をもとに、現職教師と教育実習生の視線対象および視線配布の意図を分析し、両者の即時的な意思決定や子ども把握の特徴を解明した。現職教師と教育実習生は、同じように子どもに視線を向けてはいるものの、教育実習生は子ども全体をくまなく見ようとしているのに対して、現職教員は、場面に応じて視線を向ける子ども(たち)が決まっていることなどを明らかにした。また、調査時の発話記録を「視線配布の意図」「知覚」「解釈・価値判断」「対応行動・思考」に分類することを通して、視線配布の意図を探索している。 2)現職教員の「みえ」を教育実習生に伝承するための演習:1)で分析した現職教員の視線映像を教育実習生とともに分析する演習を試行的に行った。現職教員の「みえ」を共感するための取り組みとして、現在その成果と課題を分析している。 3)これらの研究成果を学会について、The Association for Educational Communications and Technology 2017 International Convention、The Eight Pacific Rim of Education、日本教育工学会第33回大会、日本教育方法学会第53回大会で発表するとともに、書籍や論文において研究成果をまとめた。
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