研究課題/領域番号 |
16K12787
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柴田 好章 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (70293272)
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研究分担者 |
坂本 將暢 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (20536487)
埜嵜 志保 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 助教 (10806475)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 授業分析 / 板書 / 記述言語 / 教師の力量 / 知識の構造化 / 社会的構成主義 / 子どもの思考 |
研究実績の概要 |
本研究では、板書に着目した授業研究を推進するために、板書記述言語の開発と板書の過程を再現するソフトウェアの開発を行ってきた。板書には、あらかじめ教師が準備した学習内容を書く役割のほかに、授業の中での子どもの発言を教師が黒板に書き留めていき、発言内容の相互関連を明示することによって、知識構成を促す役割がある。前者は伝達型の板書、後者は構成型の板書と区別することができる。本研究では社会的構成主義の立場から、特に後者の構成型の板書に注目し、板書が有する知識の構造化の機能の解明に資するよう、以下の課題に取り組んできた。 1)板書記述言語と、板書の過程を再現するソフトウェアの開発:板書を構成する コンピュータ上で再現できるソフトウェを開発する。 2)社会構成主義的に展開される授業の分析:伝達型板書によって、子どもの発言内容の相互関連が板書に示されていく授業を対象を分析し、子どもの思考と板書の内容・構造との関連、知識の構造化のための板書の機能を改名する。 3)板書過程に関与する実践知の解明による教師の力量の分析:板書過程の特徴についての教師に対するインタビューにもとづき板書に関する教師の実践知を明らかにし、構成型板書のための教師の力量を分析する。 最終年度にあたる平成30年度は、板書記述言語の開発と実装の研究を進めるとともに教師の板書技術、教師の意思決定、さらに社会構成主義的な学習における必要とされる教師の力量が明らかになった。学習内容・教材の構造的で本質的な理解と、子どもの思考内容や過程の深い理解、即時的な意思決定の重要性を、板書過程の分析によって明らかにすることができた。また、子どもの発言をもとに構成される板書の分析から、板書と子どもの思考との関連を明らかにし、思考ツールとして板書の意義を考察した。
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