本年度は,研究最終年度として,これまでに調査・検討してきた3Dプリンタの活用方法について,現職教員向け講習での活用,学校現場での活用,教員養成課程での活用を並行して進めつつ,検討を行った. 現職教員向け講習の中では,3Dプリンタの利用経験がない教員らを対象に,「3Dプリンタとは」から「3Dデータ作成・出力の演習」を実施し,それらを踏まえて,どのような活用の可能性があるか,また活用にあたっての課題はどのようなところにあるかの議論を行うことで,学校現場での活用に向けた3Dプリンタの効果および課題を整理した. それらの結果も踏まえつつ,学校現場での活用では,研究協力者である現職教員らの学校において,小学生,中学生,高校生を対象に進めた.小中学生を対象とした実践では子どもたちによる3Dプリンタでのものづくりの体験や3D地図を用いた地域・防災学習を中心に,高校生を対象とした実践では風力発電を中心にその仕組みと構造の理解の一環として3Dプリンタでデータの作成・出力を繰り返す活動を中心に行った.特に高校生を対象とした活動では,利用した3Dプリンタの性能の範囲内で,より効率よく電力を発生させるという課題を解決するためにチームでの記録,検証,試行錯誤などを繰り返し行う様子が見られた. 教員養成課程での活用では,それぞれの専門とする教科を中心に,具体的な教科・単元の中でどのような活用が可能かの抽出を行い,それらに基づいて実際にデータの作成及び出力を行い,課題を検討した.それらの結果も踏まえつつ,学校の課外活動の一環として開催した3Dプリンタ講習を学生らが実施することで,教師としてメディアの活用について検討する機会となることを確認した. 以上のように,複数の立場・場面で,防災教育を中心とした3Dプリンタの活用方法について検討し,実践することで,学校現場での3Dプリンタの活用をより具体化することができた.
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