本研究は、教育工学の専門性を「デザイン」の伝統から再吟味したときに、実践者・研究者の育成にどのような示唆が得られるかについて探索的に調査してその知見を踏まえた提言を行おうとするものであった。「科学」でも「工学」でもない第三の学術的伝統である「デザイン」に学ぶという観点から、文献研究とヒアリング調査を中心に進めていく計画を立てた。二年目には、文献調査の幅を広め、地方芸術学系大学のWebサイトなどの調査を行った結果、芸術系学部においても「デザイン」の教育に注力し、「自分で作りたいも のを作るのがアートだが、他者の要望に応じて作っていくのがデザイン」という共通した認識があることが分かった。教育の設計時には工学的アプローチではな く「技」とか「伝統」の伝承的な観点を重んじるべきという主張もあり、アートとデザインの関係・差別化を踏まえることが重要であることが分かった。これらの結果を踏まえて、教育工学研究者・実践者の養成プロセスの提言をまとめていくプロセスに挑戦したが、提言をまとめるまでには至らなかった。
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