研究課題/領域番号 |
16K12798
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
中瀬 浩一 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (20369309)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 聾学校 / 視線行動分析 / アイトラッキング / 注視時間 / 視線移動速度 |
研究実績の概要 |
公立聾学校を研究協力校として依頼し、同校の熟練ろう教員2名の授業を分析した。熟練ろう教員にはウェラブルカメラを装着してもらうとともに、教室後方に設置したデジタルビデオカメラで同時に記録した。この授業ビデオをろう教員の研修会で、若手・中堅ろう教員により評価をしてもらった。視線やうなづき、表情、手話、指さしなどについての気づきが多く得られ、熟練ろう教員の専門技量の明らかになった。 視線についての特徴をさらに検討するため、同校小学部及び中学部の複数の教員(11名)にアイトラッキング装置を装着してもらっての授業を記録し解析を行った。11名中4名の眼球の検出ができなかったり、データが記録できなかったため、7名の記録データで解析を行った。その結果、聴覚に障がいのない教員(聴教員)に比較してろう教員は、視線の動きが速く、かつ長く一箇所に留まらない傾向があることが判明した。 平成29年3月末に、実験協力教員を交えて、解析結果についての説明とディスカッションを実施した。視線の動きが速いことや注視時間が短いことがろう学校教員として絶対的に必要な望ましい技量ではなく、手話を使用しているなど、子どもたちの実態に合った教育方法を行う中で、結果的に視線速度が速くなったり、注視時間が短くなるのではないかとの意見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
授業開始前の短時間でできるアイトラッキング装置の校正方法の改良に時間を要した。 また、授業場面での記録データから視線行動を分析をするために解析ソフトを用いるが、1人の解析に膨大な時間を要した。解析方法の検討ならび解析ソフトの改良をメーカーと協議していることも要因である。 さらに、アイトラッキング装置を装着したときの眼球データがとれないケースがあり、実験協力校や授業者の日時の調整に時間が要したため。
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今後の研究の推進方策 |
解析ソフトの改良を検討し、これまでのデータの再分析を行う。 熟練教員や若手教員、聾教員や聴教員の比較、ならび技量の向上状態の把握のためにデータを増やしていく。 解析ソフトの改良状況と、実験協力校との調整によってデータを増やすことがどこまで可能かが課題である。メーカーとの協議とともに実験協力校との調整を積極的に行っていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
助成金の関係で申請時の製品が購入できなかったため、申請時との異なるメーカーの製品を活用している。詳細な解析を行うためにプログラムの改良が必要なことが判明した。改良のための経費が必要となり、現在メーカーにプログラムの改良を検討してもらっている。次年度にそのプログラムを用いた解析を検討しているため、その費用を確保した。
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次年度使用額の使用計画 |
解析プログラム約300,000円~500,000円。ろう教育科学会発表(3人、仙台、3日間)300,000円。
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