研究課題/領域番号 |
16K12799
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 晋 京都大学, 文学研究科, 教授 (40156443)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イグノラビムス論争 / E. du Bois-Reymond / David Hilbert |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、19世紀の著名な生理学者であった E. du Bois-Reymond の不可知論(イグノラビムス論)への反発として知られる、ドイツの数学者 Hilbert の全能論「我々は知らねばならない。我々は知るであろう」の成立の背景を、数学、哲学、生命科学関連の人物の人間関係を通して解明することを目的としている。数学と生命科学は一見直接の関連性がないにも拘わらず、ヒルベルトが生理学者の不可知論に強く反発した理由として、当時、この両者が現代の我々が考えるより近い関係にあった可能性があるのではないかというのが、本研究の元となった発想である。 研究を開始する前までは、主にドイツ語圏の人間関係を元に研究を進める予定であったが、今年は、これをフランス語圏に拡張する可能性を追求した。この様に研究の方向を変えたのは、ヒルベルトにとって、数学における最大の敵対者であった Leopold Kronecker の弟 Hugo が、E. du Bois-Reymond に代表されるベルリン大学流の生理学をスイスに根付かせたことで知られる著名な生理学者であり、かつ、スイスにはフランス語圏があり、Hugo の生理学の影響が、そちらにも及んだ可能性が高く、その結果、フランス語圏にも、イグノラビムス論の影響があった可能性があることに気づいたからであった。しかし、代表者のフランス語能力は低いために、フランス語能力が高い資料調査のために雇用している研究員の助けを得て、この調査を行った。その結果、フランス語圏にも、イグノラビムス論が影響したことをサポートする史料をいくつか発見した。 E. du Bois-Reymond の研究は、最近始まったばかりであり、多くはなされていない。それもあって、この発見は新知見であると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、人間関係を分析するためのグラフツールを、代表者が開発した SMART-GS という史料分析用のツールに組み込んで得られた情報をデータベース化する予定であったが、この作業がまだ完成していない。また、フランス語圏に手を出したために、本来、中心となるはずだったドイツ語圏の研究が、ほとんど進まななかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究員に助けられてのフランス語文献の調査には、限界があることが判明し、また、この研究員が自己都合で辞職する予定であるため、フランス語圏の研究は中止し、ドイツ語圏の資料収集に研究の軸足を移すことにする。また、人間関係を分析するためのグラフツールは SMART-GS に組み込まずとも使用可能である。ソフト開発には時間がかかるので、SMART-GSへの組み込みは断念することも考えている。
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