• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

生命科学とビジネスのダイナミクスの解明:生命の理解と応用を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 16K12800
研究機関京都大学

研究代表者

鈴木 和歌奈  京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD) (70768936)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードイノベーションの人類学 / 科学の人類学 / マルチサイティッド・エスノグラフィー / オーガニック / ライフ
研究実績の概要

研究代表者の鈴木は、神戸の研究所において、ラボにおいてどのように科学者がライフ、オーガニックなどの概念を使用しているのか、資料収集、インタビュー調査などを行った。またそれに基づいて論文を執筆し、研究成果をアムステルダム大学のワークショップ、大阪大学のワークショップ、バルセロナの国際学会で発表した。英語で発表を行うことにより、国外の経験豊かな専門家から有意義なコメントを得ることができ、理論や方法論の方向性について目処をつけることができた。また、国内外で開かれた国際会議などへの参加を通じて、今後本プロジェクトが予定している国際会議やワークショップ開催へむけて広い人的ネットワークを築くことができた。

研究協力者のLiv Krauseは、フランスとデンマークに滞在し、ビジネスの動向について調べるため、イノベーションハブとそれと連携している科学研究所でフィールドワークを行った(マルチサイティッド・エスノグラフィー)。とりわけ、鈴木と同様にライフやオーガニックなどのメタファーに注目した。資料収集、関連イベントへの参加、関係者へのインタビューを行い、本プロジェクトにとって重要なフィールドデータを得た。また、デンマークにおいては、コペンハーゲン大学でイノベーション研究を行うSimmon Westergaard Lex氏と意見交換を行い、研究の発展に対して有意義なコメントを得た。

また、鈴木とKrauseは、アムステルダム大学において本研究テーマであるOrganic metaphor and technoscienceについて2016年10月に共同ワークショップを開催し、STSの理論家であるAnnemarie Mol氏やその研究チームから有意義なコメントを得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Krause、鈴木ともに、本プロジェクト1年目でフィールドワークを中心的に行い、実証データを得るという目標を達成することができた。とりわけ、Krauseは、フランスとデンマークにおいて、短期間に効率よくフィールドワークを行ってきた。鈴木は、博士論文を執筆しながらも、調査地に出来るだけ通い、調査データをより充実させて来た。また、アムステルダム大学において、本プロジェクト主催のワークショップを行い、それぞれが研究発表を行ったことは、次のステップにつながる成果だったと言える。ワークショップでアムステルダム大学を中心に専門家から有意義なコメントを得たことによって、今後の概念整理の方向性の目処をつけることができた。
したがって、1年目において豊富なフィールドデータを得ることができ、2年目以降の概念整理と共同の論文執筆を確実なものとしたという点で、当初の計画通り順調に進んでいると言える。

今後の研究の推進方策

今後は、1年目で得たデータをもとに、2人のデータを比較しながら、エコロジー、オーガニック、ライフなどの主要概念を整理していく。加えて、それらがメタファーなのか、モデルなのかということにもフォーカスを当てる。また、実証データのみならず、社会科学でどのようにこれらの概念が使われて来たのかを文献レビューを行いながら整理していく。文献と実証データの両方向から概念を検討することで、ビジネスと科学の両面でどのように概念が移動し、変化しているのかを明らかにする。
これらの概念検討を中心に行い、追加調査により足りないデータを補強する。それと同時にワークショップ(@大阪大学)を開催し、研究成果を発表するとともに、発表した原稿を論文化しジャーナル論文として投稿する。

次年度使用額が生じた理由

該当年度にアメリカのニュースクール大学から専門家のエミリー関根氏を招聘してワークショップを開催する予定だったが、研究代表者の都合により次年度にワークショップを開催することとなった。また、10万円という金額は、実際の旅費と滞在費の半額の設定だが、これは、大阪大学の別のプロジェクトと合算して関根氏を招聘予定だったためである。そのため、10万円を次年度に繰り越した。

次年度使用額の使用計画

当初の予定どおり、アメリカのニュースクール大学から専門家のエミリー関根氏を招聘してワークショップを開催し、旅費として使用する計画である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)

  • [雑誌論文] 生命科学のラボでフィールドワークするー新聞記者と人類学者のあいだの経験2017

    • 著者名/発表者名
      鈴木和歌奈
    • 雑誌名

      100万人のフィールドワーカーシリーズ 第6巻 マスメディアとの交話

      巻: 6 ページ: 未定

  • [雑誌論文] The Creation of a Local Innovation Ecosystem in Japan for Nurturing Global Entrepreneurs2016

    • 著者名/発表者名
      Liv Nyland Krause
    • 雑誌名

      The Economics of Ecology, Exchange, and Adaptation: Anthropological Explorations

      巻: 36 ページ: 253-283

    • DOI

      10.1108/S0190-128120160000036010

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Ecology of cells: An ethnography of iPS cells and regenerative medicine in a Japanese laboratory2016

    • 著者名/発表者名
      Wakana Suzuki
    • 学会等名
      Organic Metaphors Workshop in Technoscience
    • 発表場所
      University of Amsterdam(オランダ、アムステルダム)
    • 年月日
      2016-09-16 – 2016-09-16
    • 国際学会
  • [学会発表] The biology of innovation: creating nurturing ecosystems for business startups2016

    • 著者名/発表者名
      Liv Nyland Krause
    • 学会等名
      Organic Metaphors Workshop in Technoscience
    • 発表場所
      University of Amsterdam(オランダ、アムステルダム)
    • 年月日
      2016-09-16 – 2016-09-16
    • 国際学会
  • [学会発表] iPS cells as 'bio-subjects' : expansion of experimental system beyond laboratories2016

    • 著者名/発表者名
      Wakana Suzuki
    • 学会等名
      the Society for Social Studies of Science (4S) Annual Meeting
    • 発表場所
      Barcelona(スペイン、バルセロナ)
    • 年月日
      2016-08-30 – 2016-09-02
    • 国際学会
  • [学会発表] Ecology of cells2016

    • 著者名/発表者名
      Wakana Suzuki
    • 学会等名
      8th Trans-Regional Anthropology Workshop, Rethinking human and non-human: Three ethnographies in contemporary Japanese laboratories
    • 発表場所
      大阪大学(大阪大学吹田市)
    • 年月日
      2016-07-30 – 2016-07-30
    • 国際学会
  • [学会発表] 予期、ケア、時間性2016

    • 著者名/発表者名
      鈴木和歌奈
    • 学会等名
      50回文化人類学会研究大会
    • 発表場所
      南山大学(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2016-05-28 – 2016-05-29

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi