研究課題/領域番号 |
16K12803
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
野間 晴雄 関西大学, 文学部, 教授 (00131607)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サトウキビ / プランテーション / スリナム / トリニダードトバコ / 黒人奴隷 / インド人 / 科学技術史 / グローバルヒストリー |
研究実績の概要 |
国内でのカリブ海地域,および世界各地のサトウキビプランテーションの文献の収集を継続している。その一部は,研究協力者のRatan Lal Chakraborty氏(インド在住)に依頼し,そのリストと収集資料はPDFの形で受領済である。幸い,2017年4月から5月末まで,氏が関西大学東西学術研究所の客員研究員として滞在することになったので,この期間にインド人のカリブ地域へのプランテーション労働力の移入についても調査予定である。これらを整理するため,デスクトップパソコンを購入し,現在,活用している。それとともに,世界で産業遺産として,農産加工工場が世界のカリブ海地域でどの程度分布しており,その保存の状況についての調査も新たに行ないたい。 2017年2月19日~3月2日まで,トリニダードトバコ,ガイアナ,スリナムの現地調査とよび資料収集のため外国出張し,ポルトープランス(トリニダードトバコ)とパラマリボ(スリナム)の国立図書館,博物館での資料収集と,サトウキビプランテーションの農園や精糖場見学を実施した。しかし,当初予定したガイアナの調査ができなかったので,今後の課題としたい。 スリナム,ガイアナでオランダがブラジル北東部で獲得したサトウキビの製糖技術,プランテーション経営手法の検証は,インドからの年季契約移民労働者を抜きにしては考えられないことが現地にいって判明した。人口過密化,土壌劣化,サトウキビ栽培地の産地移動の一連のプロセスの類型化が必要であることを改めて認識した。そのため,今後インド関係の研究者との連絡を密にしていきたい。 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内でのカリブ海地域,および世界各地のサトウキビプランテーションの文献の収集を継続している。その一部は,研究協力者であるインド在住の研究者に依頼し,そのリストはすでに受け取った。これらを整理するため,デスクトップパソコンを購入し,活用している。 2017年2月19日~3月2日まで,トリニダードトバコ,ガイアナ,スリナムの現地調査および資料収集のため外国出張した。しかし,スリナムを経由してガイアナに入国する場合は黄熱病の予防注射が必要なことが現地でわかり,今回はガイアナには入国できなかった。そのため当初の予定を変更してスリナムでの滞在日数を増やし,アメリカ合衆国マイアミでの2日の滞在を余儀なくされた。また,マイアミでホテル側のミスで収集した書籍や機器類が現地にいまだ保管されたままになっており,いろいろな手段を講じて早急に返却を依頼中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在,アメリカにある収集資料を早急に返却してもらうとともに,2017年2月の調査の概要とこれまでの収集資料の分析から,2017年6月の歴史地理学会(愛知教育大学)で共同課題「海からの歴史地理学」で「海を渡ったサトウキビプランテーション ―ギアナからバルバドス,そしてトリンダード・トバコへ―」を口頭発表の予定である。今年度は2018年2月にハイチ,ドミニカ,キューバに外国出張し,現地調査・資料収集を行う行なう予定である。 また国内での文献調査は継続して行ない,データベース化していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通り支出したが,予定していた消耗品が想定よりも安価で購入でいたため,端数が出てしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
ドミニカ,ハイチ,キューバでの海外調査を中心に,平成28年度の繰越額とあわせて,以下のように支出する。 1)アメリカ合衆国経由で,ドミニカ,ハイチの調査。とくにハイチは政情が不安定で,経済状況もカリブ海諸国の中では悪いので,現地の研究機関などと連絡を密に実施したい(海外出張費)。2)調査地域での収集したサトウキビプランテーションや製糖関連の産業遺産のデータペースを日本で作成する(謝金充当)。3)国内で資料収集(国会図書館,JETROアジア経済研究所)での資料収集(国内旅費)。4)キューバは,現在,アメリカとの国交回復により,旅行事情や調査環境が急変している。現地の共同研究者を活用して情報収集を行う(謝金充当)。キューバ調査を1)とは別日程にするか,同じ行程で行うかは今後の状況を見て判断したい。5)6月の歴史地理学会(愛知教育大学)で2016年度の成果の一部を口頭発表する(旅費充当)。
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