古墳時代人骨における大腿骨背側のピラスターが変則的に突出する状況は乗馬姿勢によるものという仮説をたてた。実験的な検証として乗馬経験者における筋肉痛や痣のできる部位から、この仮説は立証できた。ウマ利用と副葬品の馬具が多様化する5世紀以降の男性人骨に、本特徴が多く認められ、古墳時代のウマ利用と共に、この特徴が顕著となることが立証できた。また副葬品の馬具との相関関係を見ると、馬具を副葬しているにもかかわらず、本特徴が認められない人骨も確認できた。副葬品で馬具が出土しても、その被葬者が自力で乗馬出来るとは限らないことも指摘できた。ウマという新しい下賜品とのかかわり方についても検討することができた。
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