研究課題/領域番号 |
16K12824
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 謙治 東京工業大学, 工学院, 教授 (80159871)
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研究分担者 |
青木 洋貴 東京工業大学, 工学院, 准教授 (00322090)
顧 秀珠 東京工業大学, 工学院, 助教 (20632615)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 眼球注視技術 / アイトラッカー / ヒューマンエラー / 注視インタフェース / 電子カルテ / 医療安全 |
研究実績の概要 |
眼球注視技術を利用した医療現場でのインシデント・エラー情報の自動獲得システム構築のための研究として、本年度は主として以下の3点の成果が得られた。 ①関連技術・システムの調査と全体枠組みの設定:眼球注視技術だけでなく、関連する幅広い内容の文献調査、国内外の有識者に対して関連研究の動向調査を行ない、これらを技術マップとしてまとめるとともに、研究の全体枠組み、研究計画の再設定を行った。 ②視覚データ自動収集の開発: 廉価版アイトラッカーを利用した「視覚データ自動収集」機能の外部設計、および内部(プログラム)設計を、イスに座って体の位置をあまり変えずに業務を遂行する「電子カルテを用いた薬剤の処方業務」を対象に完成した。 ③ヒューマンエラー自動検出法の開発: 「電子カルテを用いた処方業務」に対する応用システムとして、個々の薬剤処方ケースに対して「視覚データ自動収集機能」から出力されてくるデータをもとに、業務中のエラーを検出する方法、次の方法を考案、基本設計を行った。まず、電子カルテに蓄積された数多くの薬剤処方ケース(成功例)を、従事者が処方した薬剤の「処方情報」、電子カルテが提示した「システム情報」、当該ケースに有効な「参照情報」として整理して、データサーバ上に蓄積する。それとともに、個々の薬剤を類似薬剤、タブー薬剤、関連性の強い薬剤など、数多くある薬剤それぞれの関係を意味ネットワークの形態で表現し、サーバ上に構築しておく。エラー検出対象となる新たな個別処方ケースに対して、医師の注視情報、電子カルテで処方した薬剤の入力情報、そして電子カルテが提示したシステム情報の三つ組みとしてレコードと、データベース上の成功サンプルケースとマッチングを行い、類似度の高い類似ケースとの差異と、薬剤関連ネットワークからの情報によりエラーを検出するメカニズムを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画(申請書段階)では、上述した②、③のシステム、機能の設計、開発は高精度アイトラッカーで行う予定であったが、研究助成金の削減により高精度アイトラッカーを購入することができず、研究計画の最終的な目的であり、翌年度に計画していた廉価版アイトラッカーを用いて実施した。開発システムの完全なプロフラム化までは至っていないが、設計は完璧に終わって、プログラムの核となるアルゴリズム開発も完成している。システムの完成には至っていないが、翌年度の内容にも着手しており、研究目的から見ると概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、現在遂行中のシステムのプログラミングを早急に完了することが第一の推進課題である。その後、デバッグ、テストを完了し、システム開発を推進していく。さらに、協力施設から電子カルテから得た薬剤処方ケースを入手し、これらのケースをもとに、システム実際の動作確認、検証へと進めていく。現在複数の医療施設と薬剤処方ケースのデータ提供のコースも進めており、協力が得られる見通しであり、今後の推進は予定通りに進展していくと判断している。
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