研究課題/領域番号 |
16K12829
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
高野倉 雅人 神奈川大学, 工学部, 准教授 (00333534)
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研究分担者 |
滝 聖子 千葉工業大学, 社会システム科学部, 准教授 (50433181)
石垣 綾 東京理科大学, 理工学部経営工学科, 准教授 (50328564)
山田 哲男 電気通信大学, 電気通信学部, 准教授 (90334581)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 経営工学 / ウェアラブルセンサ / スマートセンサ情報システム / ライフログ / 少子高齢化 |
研究実績の概要 |
ワークライフバランス向上を実現するサービスシステム創成に向けて,平成29年度は,育児を行う男性および異なる生活スタイルの女性を対象としたライフログデータの収集と分析を行い,評価指標の確立に向けた以下の成果を得た. ①ライフログデータの収集と分析:育児を行う男性を対象に,身体活動量と行動記録を収集し,そのデータを統計的に分析することにより,男性の育児活動の特徴を分析した.その結果,育児を積極的に行う男性は休日の身体活動量が大きいこと,その内容は生活活動が中心であること明らかにするとともに,活動量データによる父親の行動の判別方法を提案した.育児を行う男性の身体活動は,育児を行っていない男性と異なる特徴を持ち,特に育児に携わる時間の長い休日の身体負担が大きい傾向にあった.また,第二子出産後の女性育児者の身体活動や,成人女性の身体活動量と心拍数との関係について分析した. ②収集したデータの統計的分析と評価指標の確立:①の研究実績にもとづき,身体活動量と行動記録を利用することで,平均活動量などの基本統計量の他,多変量解析手法である主成分分析,判別分析,クラスター分析により,ワークライフバランスに特徴的な統計量および評価指標を明らかにした. ③成果発表および現状調査・情報収集:日本福祉工学会誌および経営システム誌で論文を出版した.また平成29年度は主として国内のワークライフバランス支援に関する現状と課題に関する情報を収集した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,少子高齢化が深刻化している現代社会において,ビッグデータを利用した科学的アプローチにより,ワークライフバランス実現を支援できるサービスシステムの創成を目指している.平成29年度は①育児を行う男性および異なる生活スタイルの女性を対象としたライフログデータの収集と分析として,身体活動量と行動記録にもとづき,男性と女性および生活環境の違いによる影響について考察した.また平成28年度から継続して,ワークライフバランス支援サービスの現状調査を実施しており,最終年度の平成30年度に向けて,当初の研究実施計画を遂行できており,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,引き続き生活環境の異なる複数の人びとからライフログデータを収集して,収集データの統計的な分析と評価指標の確立に取り組むとともに,ワークライフバランスを実現する日常生活活動の改善,および労務管理システムや支援サービスの提唱に向けた研究に取り組み,その成果を発表する. ①仕事と家庭との調和を実現する日常生活活動の改善:仕事と家庭との調和を阻害するようなボトルネックの同定と,それを解消する日常生活の改善案を創出する. ②労務管理システムと支援サービスの提唱:①の結果にもとづき,子育てや介護などを抱える労働者に取って望ましい労務管理システムや,ワークライフバランス支援システムを提唱する.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成29年度は,育児を行う男性や生活スタイルの異なる女性など,調査に協力の得られる被験者を広く募集し,得られたデータの分析に取り組んだが,ライフログデータ収集のための各種機器の購入や研究成果発表のための旅費,採択論文の掲載料の使用額が,当初予定よりも少なかった. (使用計画)各種データ収集のための機器やアンケート調査票の購入,調査に協力いただいた被験者への謝礼,国内学会・国際会議での成果発表のための旅費,採択論文の掲載料として使用する.
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