研究課題/領域番号 |
16K12838
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
山中 仁寛 甲南大学, 知能情報学部, 准教授 (00404939)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 機器・人間の信頼性 / 人間信頼性工学 / ヒューマンインタフェース |
研究実績の概要 |
平成28年度に確立した眼電図計測から視認行動の各パラメータを抽出する解析手法を用いて,仮想運転環境において情報処理負荷をコントロールした実験を行い,ドライバーの余裕度推定手法を開発するための実験を実施した. 申請者の所属機関の既設設備であるドライビングシミュレータにより,仮想運転中の被験者に対して,平成28年度と同様の機器,方式で眼電図計測を行った.実験におけるドライビングシミュレータの走行条件としては,ドライバーの情報処理負荷量をコントロールするために危険の無い市街地コースとし制限速度を遵守した走行を行う主課題に加えて,副次課題として数的タスクを被験者に課す.数的タスクとは,約3秒間隔で音声ソフトにより読み上げられる一桁の数値を復唱するだけの“読み上げ”と連続する一桁の数値を足し合わせた解の一桁目のみ回答する“加算”,それに数的課題を行わない“なし”の3条件とした.この数的タスクは,情報処理負荷量が,“なし”,“読み上げ”,“加算”の順で大きくなることが先行研究において誘発電位との関係から明らかにされている.また,数的タスクが被験者にとって情報処理負荷となっているかの確認は,NASA-TLXにより主観的評価を行い確認する.これらの条件をランダムな割り振りにより実施,ドライバーの余裕度と眼電図計測から得られる視認行動の各パラメータとの関係を検討した. 1)ドライビングシミュレータによる仮想運転環境での眼電図計測実験の実施 2)眼電図計測による視認行動パラメータを用いた機械学習による余裕度推定手法の開発についての検討
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに研究の遂行が行えている. 今年度得られた結果を用いて,次年度は余裕度推定のアルゴリズム開発に取り組むことが可能となっていることから,達成度としてはおおむね順調であるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降の研究の推進方策については,研究計画書に記したとおり進める予定である.具体的には,平成29年度の実験により得られた結果から複数のパラメータを用いて複合的な余裕度評価手法を検討する.数的タスクによる実験条件を目的変数,眼電図計測から得られる各パラメータ(眼球運動の各種パラメータと頭部運動関連パラメータ)を説明変数とし,機械学習を行うことでドライバーの余裕度を推定する評価関数の構築する予定である. さらには,ここまでの2つの実験を通じて開発したドライバーの余裕度推定手法がウェアラブルデバイスである眼鏡型視線計測装置(JINS,MEME)での眼電位計測にも適応可能か否かの検証を行うことで,実用化の可能性を検討する.
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